脳静脈血栓症 診断

主には、動脈還流領域と一致しない部位にできた出血性梗塞、静脈系血栓症の危険因子の有無、頭痛、痙攣など脳梗塞では一般的でない症状を見たときに疑います。
症状
特徴的な症状はありませんが、病変部位と症状に関しては、この記事の最下段を参照下さい

    頭蓋内圧亢進による、頭痛、嘔吐、うっ血乳頭
    痙攣
    麻痺(Venous hemiplegia:近位筋有意の脱力)、皮質症状
    精神症状や意識障害

などが出現し、急速に進む場合もあれば、徐々に進行し良性頭蓋内圧亢進症(benign intracranial hypertension)、偽脳腫瘍 (pseudo-tumor cerebri)の病型を取ることもあります。

診断
主には画像診断で、脳静脈洞の血栓が証明できれば良いのですが簡単ではありません。以下に示す、静脈洞血管の変化以外に、鬱血、あるいは静脈性梗塞が、「動脈の支配領域に一致せず静脈の支配領域に一致して出現」していることも重要です[静脈領域参考サイト]。また、皮質下のナッツ上の小出血も特徴的な所見と言われています[ref]

CT

    脳表静脈に形成された血栓が脳表に沿って高吸収域を示すCord Sign
    上矢状静脈洞内の血栓が高吸収域を示すSense delta sign
    頭蓋内圧亢進に伴う、脳溝消失、脳室狭小化、水頭症
    造影CTでは上矢状静脈洞に生じた血栓の周囲が高吸収域を呈し血栓が生じた静脈洞内が低吸収域を示すEmpty delta sign
    大脳鎌や小脳テントが造影されるTentorial enhancement
    脳回表面の血管が造影されるGyral enhancement

MRI

    静脈洞のFlow voidの消失(T2強調画像)
    造影MRIではEmpty delta signなどCTと同様の所見

脳血管造影

    静脈相での血管の陰影欠損
    静脈洞や流入静脈の一部欠損(Stop sign)
    動脈相後期から毛細血管相にかけた造影剤の停滞や循環遅延(delayed emptying)
    静脈の異常拡張や蛇行(dilated corkscrew vessel)

原因
深部静脈血栓のチェックは必須ですね。肺塞栓はこの疾患よりも恐ろしいと思います。主な原因は以下の三通りですが、原疾患をテーブルにして表記します。

    感染症:中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎、敗血症など
    凝固亢進状態:妊娠、癌、多血症など
    静脈外壁の圧迫:脳腫瘍など

脳静脈血栓症の原因

1.感染性疾患
1)局所性
 頭蓋内感染症:脳膿瘍,髄膜炎,硬膜下膿瘍
 梅毒性骨炎
 局所性感染:中耳炎,乳様突起炎,副鼻腔炎
 面疔,齲歯,扁桃炎,口内炎,皮膚感染症
 direct septic trauma
2)全身性
 細菌性:敗血症,心内膜炎,チフス
 ウイルス性:麻疹,肝炎,サイトメガロウイルス,脳炎
 寄生虫感染症:マラリア,施毛虫症
 真菌感染症:アスペルギルス
 結核性
 マイコプラズマ感染症
II.非感染性局所性疾患
1)頭部外傷
 穿通性頭部外傷
 非穿通性頭部外傷
2)脳神経外科的手術
3)硬膜穿刺,ミエログラフィー,硬膜内ステロイド投与
4)脳梗塞,脳出血
5)脳腫瘍・頸部腫瘍
 髄膜腫
 転移性脳腫瘍
 グロムス腫瘍
 髄膜芽腫
6)孔脳症,くも膜嚢胞
7)硬膜動静脈奇形
8)頸静脈カテーテル操作,注入
9)頸部の動脈解離,放射線療法
10)電撃症
III.非感染性全身性疾患
1)手術
2)ホルモン異常
 妊娠(主に後期),産褥期
 経口避妊薬
 アンドロゲン製剤
3)心臓病
 先天性心疾患
 心不全(特に右心不全)
 心臓ペースメーカー
4)悪性腫瘍
 内臓癌(前立腺癌,乳癌など)
 白血病やリンパ腫
 カルチノイド
 癌性髄膜炎
5)赤血球疾患
 真性多血症,高所赤血球増多症
 重症貧血:大量出血後の貧血,再生不良性貧血,溶血性貧血,鉄欠乏性貧血
 発作性夜間血色素尿症
 Sickle cell anemia
6)血小板疾患
 血小板増多症(本態性血小板増多症)
 血小板低下症(特発性血小板減少症)
7)凝固異常症
 アンチトロンビンIII欠損症:遺伝性,後天性(L-asparaginase,
ネフローゼ症候群)
 プロテインC 欠損症
 プロテインS欠損症
 活性化プロテインC に対する抵抗性増大
 第5 因子Leiden 変異,プロトロンビン遺伝子変異
 DIC
 ヘパリン(ヘパリノイド)起因性血小板減少症
 プラスミノゲン欠損症
 トロンボモジュリン遺伝子変異
 Lupus anticoagulant
 クリオグロブリン血症
 Twin transfusion reaction
8)著明な脱水
 栄養不良
 発熱
9)消化器疾患
 肝硬変
 潰瘍性大腸炎
 クローン病
10)炎症性疾患/血管炎
 ベーチェット病
 SLE (全身性エリテマトーデス)
 シェーグレン症候群
 ウェジナー肉芽腫症
 Cogan 症候群
 Kohlmeier Degos 症候群
 多発性動脈周囲炎
 サルコイドーシス
 側頭動脈炎
11)静脈性疾患
 静脈血栓症
 Hughes-Stovin 症候群
12)大理石症
13)代謝異常
 糖尿病
 ホモシスチン尿症
14) Sturge-Weber 症候群
15)その他
 ネフローゼ症候群
 新生児仮死
 静脈注射
 ecstasy 使用
 甲状腺機能亢進症
 電気殺害
 リチウム
 epoetin alfa
 一酸化炭素
IV.特発性

病変部位と臨床徴候(本多英喜 1999より引用)

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