ステロイド誘発性精神障害

はじめに
ステロイド精神病(Steroid Pcychosis)あるいは、ステロイド誘発性精神障害(Corticosteroid-induced psychiatric disorder: CIPD)は、ステロイド治療を行うことの多い神経内科でしばしば診療に当たります。
ステロイドは海馬における不活化状態のGSK3の活性化を促したり、脳内ドパミンを増加させ、逆にセロトニン放出を抑制させたりする報告がありますが、詳細なメカニズムは不明です。Neuropsychiatric effectとしては、その他にも不眠やアカシジアが有名です。

CIPD発症の危険因子

  • ステロイドの高用量使用
  • 精神障害・CIPDの既往
  • 高年齢
  • アルコール多飲
  • SLE
  • 薬物相互作用:ステロイドはCYP3A4によって水産化されますので、これを阻害する薬剤(ケトコナゾール、クラリスロマイシン、フルボキサミン)はステロイドの血中濃度が上昇してCIPD発症リスクが上昇します

症状
CIPDの発症は、ステロイド開始から平均2週間以内と急性ないし亜急性の経過になります。

  • 気分障害:うつ症状が多いようです
  • 精神病性障害:妄想や幻覚など統合失調症様症状
  • せん妄

診断
特異的な検査所見はありませんが、我々脳神経内科が精神症状の原因となる他疾患を完璧に除外しつつ、ステロイド投与時期を確認し、DSMの診断基準を参考にすることになります。

CIPDの診断基準(DSM-IV)

治療
精神科専門医にコンサルテーションが実現できる場合は、積極的にコンサルテーションすべきと思われます。最も重要な対処はステロイド減量で、安易な薬物療法は避けるべきと考えられます。

  1. ステロイド減量あるいは中止
    他の治療に切り替えつつ、ステロイドは漸減中止が望ましいですが難しい場合も多いと思います。現疾患の活動性や精神症状の程度を勘案しながら、まずは30mg/日以下を目標に漸減します。
  1. 薬物療法
    a. 躁症状(混合性を含む)
    リスペリドン、オランザピン、クエンチアピンがよく用いられます。ただし、リスペリドンとクエンチアピンは糖尿病ではほぼ使用禁忌ですので、注意が必要です。
    気分安定薬では、リチウム(腎排泄のためCKDの場合は注意)、バルプロ酸、カルバマゼピンの有効性が報告されています。

    b. うつ症状
    SSRI(フルボキサミン、セルトラリン、フルオキセチン)の有効性が報告されています。また、リチウムの効果も知られている様です。三環系抗うつ薬は精神症状を逆に悪化させる様です。

    c. せん妄、精神病性障害
    ハロペリドール、リスペリドン、オランザピン、クエンチアピンなどが一般的に用いられます

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