はじめに
悪性リンパ腫はPCNSLや二次性の中枢神経病変以外にも、末梢神経障害をきたすことがあります。組織型ではDLBCLが最も多い様です。
機序
悪性リンパ腫が末梢神経障害を起こす病態は以下の様なものがあります
- 末梢神経浸潤(neurolymphomatosis)
- 腫瘤形成による神経組織の圧迫
- 血管内リンパ腫による虚血性病変
- 病理上虚血性病変を示す所見はない
- 傍腫瘍症候群:polyneuropathyの分布が多く、Hodgikin病に多いとも言われています
末梢神経浸潤(neurolymphomatosis)の特徴
悪性リンパ腫細胞が末梢神経に、おそらく血行性に直接浸潤することにより生じます。多発単神経障害が多いですが、単神経障害、脳神経障害、多発脳神経障害、馬尾症候群用の症状など様々な病型を取ります。
検査
末梢神経伝導速度検査
髄液検査:単核球増加(約半数)、蛋白増加、細胞診陽性(3-5割)、IgH遺伝子のgene rearrangement、κ/γ比で発現の偏り
末梢神経MRI:紡錘状の腫大、脂肪抑制画像でT2高信号、造影増強効果陽性
FDG-PET:最も鋭敏な検査で病変部位が高集積になります(下図)

末梢神経の病理
endoneurium、epineurium、perineuriumへのリンパ腫細胞の浸潤。リンパ腫細胞は小血管周辺にも見られる。有髄線維は、軸索障害主体型、脱髄主体型、混合型など様々。