Vertebral artery stump syndrome(VASS)

はじめに
内頸動脈や椎骨動脈などの主幹動脈が閉塞すると順行性の血流が途絶えて、場合によっては脳梗塞を発症します。その際に、内頸動脈は外頸動脈から、椎骨動脈は深頚部動脈,後頭動脈,上咽頭動脈などから閉塞した部位より遠位側に側副血行路が流入して順行性の血流を保とうとする反応が見られることがあります。
そのような場合、元々の主幹動脈と比較すると血流が弱いため、さらに血栓を形成させてしまい、形成した血栓が飛び脳梗塞を再発させることがあると考えられています。
以下のに内頸動脈と椎骨動脈のstepを示しますが、VASSよりもcarotid stump syndromeの報告がはるかに先です。artery stump syndromeでは、頭蓋内MRAでは閉塞側のICやVAの描出は非常に弱く描出されます。エコーを当てて、flowがあるのか順行なのかしっかりとした確認が必要です。

Carotid stump syndrome

  1. 内頸動脈が閉塞する
  2. 外頸動脈から側副血行路が流入してゆっくりとした順行性血流を流す
  3. 側副血行路流入部を中心に血栓が形成される
  4. 閉塞側IC領域を中心に多発する脳梗塞が発症

Vertebral artery stump syndrome(VASS)

  1. 椎骨動脈起始部閉塞(初回脳梗塞発作、ない場合もある)
  2. 同様に側副血行が閉塞側のVAに流入してゆっくりとした順行性血流を流す
  3. 側副血行路流入部を中心に血栓が形成される
  4. 数日〜数ヶ月間の経過を経て椎骨脳底動脈領域に多発する脳梗塞を発症

わかりづらいので、下の図を使います。まず、VA origin occlusionと記載されているVA近位部が血栓で切り株(stump)のように閉塞します。
次に切り株のような黒く表示された血栓の遠位部VAにはcollateralが流入して、順行性の血流を保とうとします
ただしその血流は弱いため、その部位に血栓が形成されます(灰色表示の血栓)
これが塞栓子となって遠位部に飛び、多発する小脳、脳幹、PCA領域の脳梗塞を引き起こします。

VASSの発生メカニズム J Neurol Sci 2013;324: 74-79より抜粋

VASSの診断基準
後方循環系の急性脳梗塞
椎骨動脈の閉塞が検出されている
椎骨動脈閉塞部遠位での順行性血流の存在
側副血行路:深頚部動脈,後頭動脈,上咽頭動脈
他の脳梗塞の原因がない(やはりVA解離の鑑別が重要でしょうか)

治療
本疾患では、側副血行路流入部の血流が遅いため抗血小板薬よりも抗凝固薬(ヘパリンやワルファリン)が良いのではないかと言う仮説から、ヘパリンやワルファリン単独、ヘパリン+アスピリン or ワルファリン + アスピリンのような初期治療が多くなされています。
また、血管内治療による血栓除去も試みられています

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