はじめに
2011年にSzmulewiczらがmultisystem ataxiaとして報告した、両側の前庭機能障害,小脳性運動失調と感覚神経障害を三徴とするまれな症候群です。劣性遺伝疾患と考えられていて、 RFC1(replication factor complex subunit 1)遺伝子異常の報告がなされています。
剖検では前庭神経節、三叉神経節、顔面の膝状神経節、後根神経節など神経の感覚神経の細胞体がある部位の変性が目立つことから、ニューロノパチー(ガングリオノパチー)が主体の病態と考えられます。後根の萎縮に加えて、小脳中部と外側半球の萎縮が見られます。小脳、後根の萎縮や脱落が見られます。
症状
以下のような症状の組み合わせになりますので、ふらつき、めまい、構音障害、眼振、四肢の感覚障害(筋力は保たれる)、Romberg徴候、深部腱反射低下などになります。
- 小脳失調
- 前庭神経障害:VORの障害を臨床的にも確かめましょう
- 感覚性末梢神経障害:neuropathyよりはneuronopathy症状になります
- 自律神経症状:足の冷感や色調変化
診断基準(提案)
- 臨床的に両側の前庭機能低下がある。VVOR検査における異常がビデオ式眼振計や回転椅子検査で確認できる
- 臨床的に小脳失調がある.MRIで小脳虫部の前葉と背側(VI,VIIa,VII小葉)および外側半球のcrus I(VII 小葉)の萎縮がある
- 少なくとも一側の上肢および一側の下肢におけるSAPの導出不能や低下を認めるが、運動神経にほとんど異常がない。Neuronopathy(ganglionopathy)が証明される
- SCA3 と Friedreich 失調症 (FRDA)が遺伝子検査で除外できる
または 1.~3. を病理学的に確認することとされる(definiteの場合)