はじめに
脳CTを行なった際にしばしばみられる頭蓋内(脳内)石灰化病変ですが、脳実質あるいは血管へのカルシウム沈着により生じます。おそらくカルシウムを貪食した単球系細胞が沈着することにより生じるのだと思います。
多くは無症候で、加齢によっても基底核(淡蒼球が多い)や松果体、脈絡叢には生理的に沈着(Physiologic/Age-Related Intracranial Calcifications)します。
その他、脳腫瘍や感染症では非対称性の石灰化を来しますが、神経内科医がしばしば鑑別を行う対称性の石灰化は以下のような原因をまずは把握しておきましょう。
その他の疾患も含めて、この総説(J Radiol Case Rep. 2019; 13: 1?18.)はとても参考になります。
脳室周囲石灰化
- HDLS:脳室周囲や脳梁の細かな石灰化
- TORCH症候群
- 結節性硬化症
- Krabbe病:内包や放線冠
- Sturge Weber症候群:Tram track appearance, double-lined gyriform pattern
- 甲状腺機能低下症
基底核に石灰化
- 那須ハコラ病
- Fahr病(家族性特発性基底核石灰化症)
- Alexander病
- Cockayne症候群
- MELAS
- 副甲状腺疾患
- 偽性副甲状腺機能低下症
- 放射線治療後
その他
- Neurofibromatosis:側脳室内の脈絡叢や小脳の結節状の石灰化