ウィルス性辺縁系脳炎(主にHSV) 診断

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概念、疫学
単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus; HSV)による中枢神経感染で、死亡率が 10〜30%、再発も 20〜30%にみられるといった、重篤な神経感染症です
ウイルス脳炎のなかで最も頻度が高く、わが国では年間 300〜400例の発症があります9歳以下にピークがありますが、各年齢でみられます。

病因
HSVには、HSV-1とHSV-2がありますが、一般的にはHSV-1によるものが多く、HSV-2は産道感染で、新生児に脳炎を引き起こすことが多いといわれています。
(HSV-1は口唇ヘルペス、HSV-2は性器ヘルペスの原因ウィルスです)

感染経路

    新生児・幼児:産道における感染や皮膚・粘膜の初感染に続いて起きる
    成人・高齢者:ヘルペスウイルスの知覚神経節への潜伏感染後の再活性化による(回帰感染)

好発部位
通常最も多いのは側頭葉型・辺縁系型ですが(約8割)、脳幹型は約10%前後と比較的稀なものの存在します。脳幹型の特徴としては、発熱、炎症反応を伴いにくい・脳神経症状を伴いやすい・脳波異常(PSD)を伴いにくいなどがあげられます。

    HSV-1:側頭葉、大脳辺縁系で、壊死傾向が強い
    HSV-2:神経根炎や脳幹病変を来たすことも多く注意が必要です

症状

    全身感染症状:発熱、全身倦怠感、上気道炎症状
    脳圧亢進症状、髄膜刺激症状:頭痛、嘔吐
    意識障害:ほぼ必発
    脳病巣症状:痙攣(70%)、片麻痺、不随意運動、人格変化、幻覚、記銘力障害などの側頭葉症状

検査

    髄液検査:細胞↑(リンパ球優位)、蛋白↑、圧↑、糖→、キサントクロミーが見られることがあります
    HSV遺伝子検査:髄液、血清ともに提出しましょう
    HSV抗体:EIA法で髄液、血清をAlbとともに提出して、抗体指数を算出します
    脳波:片側性に周期性同期性高振幅徐波が見られ、典型的にはPSD(periodic synchronous discharge)、PLEDs(periodic lateralized epileptiform discharges)が見られます
    脳MRI:一側優位の側頭葉下部、島、海馬病変に、異常信号が出現します

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拡散強調画像(DWI)
側頭葉、側頭葉に高信号領域を認めます
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拡散係数画像(ADC)
拡散強調画像の高信号領域の一部はADC値が低下していますが、一部は上昇しています。ADC低下病変は急性期に、上昇病変は組織破壊の進んだ亜急性期以降に見られる印象があります
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FLAIR画像
拡散強調画像と比較して高信号の程度は軽いですが、亜急性期以降は目立ってきます

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