SLEに伴う中枢神経障害 診断

By | 07/05/2009

概念
これほど、診断の難しい病態もすくないと思われます。全身性エリテマトーデス(SLE)では非常に多彩な精神・神経症状がみらるため、neuropsychiatric SLE (NPSLE) と総称されます。
抗リン脂質抗体・血管炎に起因する局在性病変や、せん妄・気分障害などの精神症状や認知機能障害が前景に立つびまん性の病態も包括されます。臨床症状はNPSLEに特異的なものではないので、診断基準は確立していません。

SLEにおける精神神経症状の分類 [ref]
この分類は精神症状の評価には優れている一方で、GBSやMGなどの独立した疾患概念が入っていることなど、まだ問題点も多いと言われています
中枢神経

    無菌性髄膜炎
    脳血管障害
    脱髄症候群
    頭痛
    運動異常症(舞踏病)
    脊髄症
    てんかん発作
    急性錯乱状態
    不安障害
    認知障害
    気分障害
    精神病

末梢神経

    急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー
    自律神経障害
    単ニューロパチー
    重症筋無力症
    脳神経障害
    神経叢症
    多発ニューロパチー

診断

    血液検査:SLEの活動性、凝固機能の評価
    髄液検査:感染症の除外、IL-6測定
    CT、MRI:MRI異常はNPSLEの54-81%に出現するとともに、他疾患の鑑別にも必須です
    脳波
    SPECT:MRIで異常がなくとも、変化を捕らえることもあります

鑑別
中枢神経感染症、静脈洞血栓症、PRES、薬物中毒、内服薬の副作用等々

参考:SLEの分類基準
 (1997年改訂基準 アメリカリウマチ協会)

1.顔面(頬部)紅斑
2.円板状皮疹(ディスコイド疹)
3.光線過敏症
4.口腔潰瘍(無痛性で口腔あるいは鼻咽喉に出現)
5.非びらん性関節炎(2関節以上)
6.漿膜炎
 a)胸膜炎、または、b)心膜炎
7.腎障害
 a)0.5g/日以上または+++以上の持続性蛋白尿、または、b)細胞性円柱
8.神経障害
 a)けいれん、または、b)精神障害
9.血液異常
 a)溶血性貧血、b)白血球減少症(<4000/μl)
 c)リンパ球減少症(<1500/μl)、または、d)血小板減少症(<100,000/μl)
10.免疫異常
 a)抗二本鎖DNA抗体陽性、b)抗Sm抗体陽性、または、c)抗リン脂質抗体陽性
  1)IgGまたはIgM抗カルジオリピン抗体の異常値、
  2)ループス抗凝固因子陽性、
  3)梅毒血清反応生物学的偽陽性、のいずれかによる
11.抗核抗体陽性

上記項目4項目以上を満たす場合、SLEの可能性が高いと考えられます。が、最終的な診断は臨床経過、臨床兆候、検査所見などを総合的に専門医が判断してなされます。

4 thoughts on “SLEに伴う中枢神経障害 診断

  1. 小柴賢洋

    簡潔にまとめてあり、有難うございます。
    参考に挙げられている「SLE診断基準」ですが、これは「分類基準」であって「診断基準」ではありませんので、ご注意ください。

  2. Bill and Ben

    コメントいただき、ありがとうございます。専門外で申し訳ございません。最下部の顔面紅斑などなどに関しまして、診断基準を分類基準に変更するべきでしょうか?アドバイスいただけると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。

  3. 小柴賢洋

    早々のレス、ありがとうございます。確かに分類基準の項目はSLEに特徴的な所見ですが、白血球数が普段から4000前後の方は珍しくありませんし、抗核抗体も40倍をカットオフとすると20〜30%の方が陽性になります。したがって「分類基準を参考に診断する」というのが正確なところでしょう。
    分かりやすく言えば、日頃から白血球数3800、抗核抗体40倍の若い女性がウイルス感染を起こして半年間隔で二度受診し、二回とも発熱、顔面の紅斑様の発赤、頭痛、関節痛・関節炎、蛋白尿を認めたからといって、SLEとは診断しないですよね。
    つまり、RAやSLEの場合、診断のゴールドスタンダードは分類基準を満たすかどうかではなく、専門医がそう診断するかどうかということなのです。

  4. Bill and Ben

    わかりやすい解説ありがとうございます、感謝いたします。そのように追記させていただきます。今後とも、ご指導よろしくお願い申し上げます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です