Isaacs症候群, Morvan症候群 診断

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病態
後天的に電位依存性Kチャネルに対する抗体(抗VGKC抗体)が産生され、これにより(中枢神経; Morvanの場合)、末梢神経、自律神経の過興奮がおこる疾患です。運動神経に過興奮が起こればMyokimiaやmyotonia、感覚神経に起これば異常感覚、自律神経では発汗過多などの症状が出現します。
1961年にIsaacsが末梢神経由来の異常放電を伴い、持続性の筋収縮をきたす症例を報告しました。その異常放電は神経ブロックや全身麻酔で消失せず、神経伝達ブロックで消失することを示しました。後天性neuromyotoniaの中心的な疾患です。
男性が女性の2倍の罹患率で、平均発症年齢は45-50歳ですが、小児から高齢まで幅広く分布します。

症状

    不随意運動:neuromyotonia、睡眠時も持続するmyokimia、運動により増強する有痛性筋痙攣・筋硬直、pseudomyotonia
    感覚障害:発作的な四肢、顔面の異常感覚など
    自律神経症状:発汗過多、唾液・涙分泌過多、膀胱直腸障害、不整脈(期外収縮、QT延長)
    精神症状:重度の不眠、幻覚、せん妄、人格変化、痴呆、痙攣
    体重減少

軽度の不眠、不安、抑うつはIsaacs症候群でもみられるのですが、それ以上の精神症状を伴った場合はMorvan症候群とするようです。
神経学的には四肢の筋硬直、grip myotonia, 筋硬直に起因する歩行障害が見られるのですが、ミオトニア疾患と異なり、percussion myotoniaは認められないことが特徴です

検査所見

    血清抗VGKC抗体陽性:免疫組織学的手法で陽性率が高いようです
    髄液oligoclonal band陽性
    筋電図にてmyokimic discharge、neuromyotonic discharge(neuromyotoniaはmyokimic dischargeよりも高頻度発火で、持続が長いのが特徴です)
    神経伝導速度にてCMAPあるいはF波に引き続く低振幅反復性筋電図(反復放電stimulus induced repetitive discharge(SIRD)
    終夜脳波:REM睡眠時にも筋活動は抑制されません
    sural nerve生検・筋生検は大部分は正常、brain cutting は特異所見なし
    他の自己免疫疾患検索:重症筋無力症や橋本病など(AchR抗体、Musk抗体、GAD65抗体)
    胸部CT:胸腺腫や肺癌検索

抗VGKC抗体の作用機序
病変部位としては通常の神経ブロックでは症状や筋電図所見に著効は見られず、神経筋遮断薬で消失することより、神経終末付近で神経の興奮性が上昇していると考えられています
抗体が直接チャネル機能そのものに影響を及ぼすのではなく、チャネル蛋白合成の抑制などチャネル密度の低下させることで作用します

    異所性発火部位:末梢神経終末部と近位部にあり、症例によりどちらかが優位性を持つ。
    中枢神経症状の出現機序:(1) 抗体の直接作用、(2) 末梢の抗体作用で内分泌的な異常が起こり、中枢に作用する
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