概念
基本的には脳幹梗塞を引き起こす病態ですが、内頸動脈閉塞と同様に、脳底動脈閉塞(acute basilar occlusion;ABO)は非常に予後が悪く、血栓溶解療法での再灌流が得られなかった場合の死亡率は85-90%程度とされています
そのため、可及的速やかな脳底動脈閉塞部の再開通が必要です
椎骨動脈解離に合併することもありますが、その場合は出血のリスクもありますが、特に若年者では血栓溶解の適応も強く考慮されます
症状
- 意識消失、意識低下
球麻痺症状
共同偏視、眼振
視野障害
四肢麻痺
呼吸減弱
四肢筋トーヌス亢進
検査
-
脳CT:脳幹腹側のHyperdense sign(下図左)
脳MRI:FLAIRで脳底動脈のhyperintense sign(下図中)、両側脳幹の虚血病変
脳MRA:脳底動脈のFlow消失
血管造影:脳底動脈閉塞(下図右)
脳CT(左)、脳MRI FLAIR強調画像(真中)では、脳底動脈が高信号に描出され、hyperdenseあるいはhyperintense signなどと呼ばれています。血栓を反映していると思われます。
脳血管造影(右):椎骨動脈より造影剤を注入すると、脳底動脈で血流が途絶しているのがわかります