心原性脳塞栓症 治療

脳卒中治療ガイドライン 2009:書籍

治療概要
1. 超急性期治療血栓溶解療法の適応がある場合には速やかにrt-PAの投与を行い、内頚動脈閉塞などにより再開通が得られず、ペナンブラ領域が広く存在する場合には血管内治療による血栓除去療法(thrombectomy)も考慮します。
2. 急性期治療
心房細動を初めとした心疾患を原因とする本病型では、早期再潅流により出血性脳梗塞を発症数日以内に合併する場合が多いため、抗凝固療法をいつから開始するかは判断が難しいところです。急性期のヘパリン投与による再発予防は、出血の副作用が有意に上がることは証明されていますので、梗塞体積が小さく出血の影響が少ない場合、再発のリスクが高い場合、多発している場合、DVTが強く存在する場合に限られると考えます。そのような再塞栓リスクが非常に高い場合を除くと、発症1週間後からの新規抗凝固療法(NOAC)、発症1週間後に最適な抗凝固効果を得るための発症3日後ぐらいからのワーファリン導入が望ましいと考えます。
一方で、急性期脳梗塞治療としてエビデンスレベルの高いアスピリンに関しては、出血病巣を拡大する可能性があるため、梗塞領域の小さい場合に限るなど慎重な投与が必要となります。その他の急性期治療としては脳保護薬としてのエダラボン(推奨グレードB)及び、脳浮腫の強い場合にはグリセロールを使用します(推奨グレードB)。さらに、大きな病変で脳浮腫により脳ヘルニアを来す可能性がある場合には、発症48時間以内に開頭減圧術を行うことにより、機能予後の改善効果が認められます(推奨グレードA)。

急性期治療の投与例
アスピリン投与
脳梗塞急性期のアスピリン投与は、脳梗塞の機能予後を改善させるため。使用が推奨されます。つまり、アスピリンでbridging後にワーファリンを導入します。ただし、大きすぎる脳梗塞や出血性梗塞になった場合は投与しないか、中止が好ましいと考えます
グリセロール(抗浮腫療法)
高張グリセロール静脈内投与は、頭蓋内圧亢進をともなう大きな脳梗塞の急性期に推奨される。
処方例:グリセオール(1回200mlを1時間以内、1日2-6回)
エダラボン(ラジカット):脳保護剤
発症24時間以内の各種病型の脳梗塞に対しフリーラジカルスカベンジャー(ラジカット)の投与が推奨される。
処方例:ラジカット注30mg 1A+生食100ml(1日2回)14日間
注)eGFR<30あるいはCr>1.5と腎障害が強い場合は、効果が乏しく腎障害、肝機能障害が強く出る可能性が高いため、使用を控えてください

再発予防
ヘパリン(急性期塞栓再発予防)
最近はあまり行われません。発症48時間以内に出血の認められなかった症例に対しヘパリン投与が再発予防に効果があるとの報告もありますが、一定した見解がないからです。再発予防の目的で使用する場合にも、十分なインフォームドコンセントが必要である。
処方例:ヘパリン注 1万-1.5万単位持続静注(APTT 1.5-2.0倍を目標)
ワーファリン
頭蓋内出血などが目立たなければ、比較的早期から、アスピリンをワーファリンに切り替えることにより、再発予防を行います。

慢性期治療
1. 抗凝固療法

    ワルファリン
    プラザキサ
    イグザレルト
    エリキュース
    エドキサバン

2. 心房細動、弁膜症など心疾患の治療

出血性梗塞のリスク

    広範囲梗塞(特に心原性塞栓による)
    入院時の高血糖
    血栓溶解療法
    高齢者

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