治療可能なCIDPとの鑑別が本疾患の具体的な治療に入る前に重要になります。髄液蛋白の上昇、神経根のMRIでの肥厚などCIDPで見られる所見が強ければ、ステロイドや免疫グロブリンの投与を試みる価値はあると考えられます。
CIDPでない場合、
主には、毎日の運動、整形外科的なアキレス腱延長術、あるいはPes cavusの治療が中心になります。薬物療法は、モデルマウスのレベルでは効果が実証されているものもありますので、特にVitCなどの投与も考慮されますが、実際に効果が証明された薬剤はありません。
1. 薬物療法:CMT1などの脱髄型(特にPMP22関連)
- ビタミンC
抗プロゲスチン剤:onapristone
NT-3
その他
- CoQ10など
2. 外科的治療
- アキレス腱延長術:尖足、下垂足に対して
後脛骨筋腱背側移行術:尖足、下垂足に対して
足底筋膜切離術
中足骨骨切術:内反凹足に対して
創外固定術(イリザロフ法):内反凹足に対して
など
その他、鷲手、股関節(臼蓋形成不全)、脊椎側湾・後彎に対する外科的治療も考慮します
3. 対症療法
- 異常感覚に対する治療:リリカなど
4. リハビリテーション
足関節のストレッチによる拘縮予防や、軽度から中等度の運動負荷による歩行訓練が重要です
- 装具:短下肢装具、長下肢装具
HALなどのロボット技術
5. 社会福祉
- 身体障害者手帳
特定疾患申請による医療費補助
など
注意事項
1. ビンクリスチンなどの抗癌剤を遺伝性末梢神経障害の方に使用すると、末梢神経障害が急速に悪化する可能性がありますので、注意が必要です。
その他、シスプラチン、タキソール、サリドマイド、ベルケード、アミオダロン(抗不整脈薬)、ジダノシン、サニルブジン、ダプソンなどなど
2. CMTの方への麻酔は、一般的に硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔を避けることが望まれます。また、嚥下反射の低下、声帯麻痺、側湾症による拘束性換気障害、悪性高熱症、不整脈へも注意が必要です