常染色体優性 脊髄小脳変性症

比較的本邦での頻度の高いものは、以下のようなタイプです

    脊髄小脳失調症1 型(SCA1)[6p22-23, ataxin1]、Wiki
    脊髄小脳失調症2 型(SCA2)[12q23-24.1, ataxin2]、Wiki
    Machado-Joseph病 (SCA3)[14q24.3-32.1, ATXN3]、Wiki
    脊髄小脳失調症6 型(SCA6)[19p13, CACNA1A]、Wiki
    脊髄小脳失調症7型(SCA7)[3p12-21.1, ataxin7]
    脊髄小脳失調症10 型(SCA10)[22q13-qter, E46L]
    脊髄小脳失調症12 型(SCA12)[5q31-33, PPP2R2B]
    歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA) [12p12-ter, DRPLA gene]
    脊髄小脳失調症31型(SCA31)、Wiki
    脊髄小脳失調症36型(SCA36)

脊髄小脳失調症1 型(SCA1)
小脳失調で発症、腱反射亢進、注視眼振、外眼筋麻痺、slow eye movement (SCA2>SCA1, SCA3)など特徴的な症状です
進行期には筋萎縮、外眼筋麻痺、腱反射の低下、末梢神経障害(振動覚の低下)、言語性記憶障害を伴うことが多いあります
稀な症状としては、視神経萎縮、舞踏病、ジストニア、むずむず脚症候群などを合併することがあります
MRIで小脳萎縮、脳幹萎縮(下図)
第6染色体短腕、SCA1遺伝子内(ATXN1)のCAGリピートに異常伸長を認めます(40リピート以上)
sca1

脊髄小脳失調症2 型(SCA2)
小脳失調、腱反射の低下、緩徐眼球運動が特徴です。痙性はまれで、むしろ筋トーヌスは経過と共に低下、発動性低下や人格低下も病期後半にあらわれます
その他、末梢神経障害、動作性あるは姿勢時振戦、ドーパ反応性パーキンソン症状なども稀ながら見られます
画像:脳幹、小脳萎縮に加えて、MSAに似た橋の十字サイン(下図)を認めることがあります
第12染色体長腕に遺伝子座をもつSCA2遺伝子内(ATAXN2)のCAGリピートに異常伸長を認めます(32リピート以上)。また、facial dysmorphismなど特徴的な症状を来す、Infantile childhood onset of SCA2の報告例もあります。
sca2

Machado-Joseph病 (SCA3)
常染色体優性遺伝、表現促進現象(特にpaternal transmissionの場合)
若年から中年、ときに老年に小脳性運動失調を初発症状とします
眼振、錐体路徴候(痙性を示すことが多く特徴的)、その他アテトーシス、ジストニア、びっくり眼、顔面ミオキミア、眼球運動障害、筋萎縮などもあります
晩期には感覚障害、自律神経症状 (排尿障害)も認められることがあります。発症年齢によって、症状に特徴があり、以下のように分類されています

    I型:若年発症、錐体路(痙性)及び錐体外路症状が主体で、失調は目立たない
    II型:中年発症で、小脳失調や錐体路徴候が主体
    III型:高齢発症で小脳失調と末梢神経障害や筋萎縮が主体
    IV型:非常にまれで、パーキンソン症状を伴い(あるいは主体で)、失調が軽度のことがある

MRIで小脳萎縮、脳幹(特に被蓋部)萎縮を認める
第14染色体長腕(14q32)に遺伝子座をもつ MJD1遺伝子内のCAGリピートに異常伸長(51リピート以上)を認めて、リピート数が長いほど症状が強く出現します。

脊髄小脳失調症6 型(SCA6)
常染色体優性遺伝(表現促進現象はない)
中年から老年に小脳性運動失調で発症し、ゆっくりと進行します
歩行障害、四肢の失調、構音障害など純粋小脳失調症状が特徴です
眼振が認められるが外眼筋運動障害はありません
MRIで小脳萎縮のみを認める
第19染色体短腕上の電位依存性カルシウムチャネルのa1Aサブユニット遺伝子内のCAGリピートに異常伸長を認める(21リピート以上は本症の発症に強く関与)
image5image9

Axial, Saggitalともに、小脳が選択的に萎縮しています。このような脳幹萎縮を伴わないパターンは、SAC6(あるいはSCA31, 36)でよく見られます

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)
常染色体優性遺伝(顕著な表現促進現象)
第12染色体短腕遺伝子内のCAGリピートに異常伸長を認める(49リピート以上)
発病年齢は小児から中年まで幅広く、発病年齢によって臨床症状が異なる
20歳以下の若年発病ではミオクローヌス、てんかん、精神発達遅滞又は痴呆、小脳性運動失調が主症状、40歳以上の発病では小脳性運動失調、舞踏アテトーシス、性格変化、痴呆などが主症状、20-40歳では上記の移行型を示す
眼振や錐体路徴候を呈することがあるが、外眼筋麻痺、筋萎縮、感覚障害などはほとんどない
MRI:小脳萎縮、脳幹萎縮というよりも子作りな感じ。尾状核の萎縮はありませんが、脳幹や大脳白質の高信号が広範に出現します
drpla

DRPLAの脳MRI、FLAIR強調画像

SCAとパーキンソニズム
Machado-Joseph病(SCA3)では、IV型(上記)がパーキンソニズムやジストニアが主体の症状として有名ですが、パーキンソニズムを伴うSCAは、SCA2, 3, 17が報告されています。SCA6, 8も症例報告があります。これら、SCAに伴うパーキンソニズムはDAT Scanでの線条体の集積低下やL-dopa反応性を認めることがあることから、しばしば遺伝歴も含めて家族性パーキンソン病と診断されていることがあります。
一方で、レビー小体病理によるパーキンソン病と違って、MIBG心筋シンチでのH/M比の低下がみられなかったり、固縮が目立たなかったり、典型的な安静時振戦ではなく姿勢時振戦が主体であったり、subtleであっても小脳症状を認めることなどの点が鑑別を行う上でのポイントになります。
一部の家族性パーキンソン病はレビー病理ではないために、MIBGの異常が出ないという難しい側面もありますが、、、

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