MS 画像

MSの診断に対するMRIの特異性は低いものの、感度は90%以上と高く、MSの典型的かつ特徴的なMRI画像の理解は、診断にとても重要です。

脳MRI画像


MSの脱髄病巣は、通常は側脳室の体部と三角部に近接した脳室周囲の白質に存在することを特徴とします。側脳室周囲の脱髄巣は特徴的には脳室表面に長軸が垂直な卵形を示しますし、慢性の脳室周囲の脱髄巣はしばしば融合します。
また、脳幹、小脳半球、中小脳脚などにも出現します(上図真ん中)。病巣は辺縁が明瞭な場合が多いのですが、急性期などで周囲の浮腫性変化を伴っている場合は周辺が不明瞭となることもあります。
急性期、慢性期いずれの場合もT2強調画像において高信号を呈し、慢性期にも持続するT1強調画像での高度な低信号病変は、より組織損傷が高度であることを示唆します。
MSによる急性の病変は、ガドリニウムによる増強効果を示し、急性病変(再発した!)を意味します。中でもリング状の増強効果は腫瘍や膿瘍との鑑別が問題となりますが、脱髄疾患は腫瘍や膿瘍とは異なり、リング状のCEは灰白質に面した部分が欠けているという特徴を持つと記載されています。
さらにMSでは、他の疾患ではあまり見られない比較的特異的な病変として、「皮質下U-fiberの病変」及び、「脳梁病変」が見られ、特に皮質下病変はMcDonaldの診断基準でも重要性が強調されています(上図右矢印)。U-fiberの病変はFLAIR画像、脳梁病変は矢状断の撮像を行うことにより検出が容易になます。

脊髄MRI
次に、脊髄病変の特徴です。脊髄病巣周辺の腫脹はないことが多く、あってもわずかです。病巣はT2強調画像で高信号で、急性期には造影効果を示すことが多く、頸髄病変が胸髄病変よりも頻度は高くC4-C6の領域が最も高頻度です。
McDonaldらの提唱した診断基準では、T2強調画像にて少なくとも3mmの長さが必要だが、2椎体を超えることはなく、病変はcross sectionでは脊髄の一部であって、全体であってはいけないと記載されています。
このような局所的な病変ではなく、長軸方向に数椎体分の広がりを示す場合は、多発性硬化症ではなく、NMO(視神経脊髄炎)の可能性が高いため、AQP4抗体を測定して下さい!治療法が変わります。


単一病変

MSでは時にTumefactive MS lesionと呼ばれる単一の巨大な病変が認められ、腫瘍、感染性の疾患との鑑別が問題となる場合があります。図は、まさにTumefactive MS lesionの画像です。左後頭葉白質に造影効果を伴う、広範なT2高信号病変を認めますが、その大きさの割りにmass effectが軽いように見えます。
腫瘍とは画像的な鑑別は難しいものの,病変の大きさ・浮腫の程度に比べmass effectが軽い、巨大な病変以外に脱髄斑を示唆する病巣が存在する、“open-ring imaging CE sign”が認められることがある、ステロイドが著効し経過中に再発・寛解を繰り返す場合が多い、などが特徴として上げられています。その他、PETやperfusion MRIなどにより脳腫瘍との鑑別を試みた報告もあります。
このような症例に対して、再発予防としてフィンゴリモド(ジレニア)を使用すると、同様なopen ring signをもつ病変の出現を誘発してしまう場合があり、注意が必要です。出来れば、Tumefactive MSにはフィンゴリモドは使用しないことをお勧めします。

その他の画像
脱髄巣は、しばしば拡散強調画像(diffusion-weighted imaging)で高信号を示し、ADC (apparent diffusion coefficient) 値の測定では正常の白質に比べ上昇する。さらに、急性の脱髄巣はADC値が低下するとされ病期により変化する組織変化を反映すると考えられています。
拡散テンソル画像 (fractional anisotrophy: FA)では、conventional MRIでは信号異常のとらえられないMS症例の白質 (normal-appearing white matter)で、プロトンの異方性が低下し正常健常人に比べFA値が低下すると報告されています。
さらに高磁場MRIを使用した磁化率強調画像(SWI) では,プラークの鉄沈着を鋭敏に検出するとともに静脈検出能にも優れ、MSのプラークの中心部に存在する静脈を検出することで、他疾患との鑑別を行った報告もあります。

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