多発性骨髄腫(MM)に伴う末梢神経障害 診断

概念
多発性骨髄腫による末梢神経障害の検討は古くから知られていますが、昔の論文はPOEMS症候群が含まれたまま解析がなされていることもあって、注意が必要です
大きく分けると以下の二つに分類されます。特に、下段のタイプはPOEMS症候群、MAG抗体関連末梢神経障害、CIDPとの鑑別が重要です

    アミロイド沈着による末梢神経障害>こちら
    アミロイド沈着を認めない末梢神経障害

症状
慢性進行性の四肢遠位有意の運動<感覚障害

検査

    蛋白分画、IgG、IgA、IgM
    免疫電気泳動
    血清VEGF:POEMS症候群との鑑別のため
    尿検査:BJ蛋白、免疫電気泳動
    骨髄穿刺、フローサイトメトリー:形質細胞腫の検索
    アミロイド検索:胃粘膜生検、神経生検など
    心電図、ホルター心電図、心エコー、BNP (NT-proBNPも)、トロポニンT
    全身骨X-p、骨シンチなど
    髄液検査
    末梢神経伝導速度検査:振幅の低下が中心ですが、軽度のvelocityの低下が見られることもあります

病理
1. アミロイド沈着による末梢神経障害
small fiber有意の軸索障害です、Congo red染色/DFSは必須です
2. アミロイド沈着を認めない末梢神経障害
このタイプの末梢神経障害では、特に電子顕微鏡でImmunogloblinや補体の沈着が見られるような自己免疫性のメカニズムの場合に、慢性の軸索障害の所見と共に、節性脱髄の所見が目立つことが報告されています
以下のような障害メカニズムの存在が推定されています

    腫瘍細胞の浸潤:神経内膜・神経上膜への腫瘍性形質細胞の浸潤により生じる末梢神経障害です。多くは、左右非対称の症状になります  
    血管障害(慢性虚血、過粘稠など) 
    Mタンパク等を介した自己免疫性機序:特異的な自己抗体は同定されていませんが、P0やミエリンへの抗体沈着が確認される場合もあります 
    その他、尿毒症など合併層症によるもの

MM2MM1
MM末梢神経症例(アミロイド沈着なし)の腓腹神経(トルイジンブルー染色)
左:有髄線維密度が低下していて、同一神経束内でも有髄神経束密度に差を認めます
右:ミエリン球はないため、急性の軸索障害ではなさそうです。ピンクの矢印で示したClusteringが目立ちますので、慢性の軸索障害と考えられますが、一方で緑の矢印のように脱髄を示唆する軸索の割に髄鞘が薄い線維(Thin myelin)が散見されます

MM3
上記症例の、解きほぐし標本
ミエリン球は認めませんが、節性脱髄を認めます

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