HTLV-I関連脊髄症 診断

概念
西日本を中心に特に九州・四国,沖縄に多く分布するHTVL-Iキャリアーの1000人に一人、痙性対麻痺を来たすことがあり、HTLV-Iによる脊髄障害の可能性が示唆されている疾患です

症状
緩徐進行性の

    両下肢痙性不全麻痺:感覚障害は運動障害よりも軽度で、しびれ感や痛みなど自覚的なものが多い
    自律神経症状:膀胱直腸障害(病初期より),下半身の発汗障害、起立性低血圧、インポテンツなど
    その他:手指振戦、運動失調、眼球運動障害、軽度の痴呆

検査

    抗 HTLV-I 抗体:血清,髄液共に陽性
    末梢血所見:白血球数は軽度減少、核の分葉化を示すリンパ球が散見、ATL でみられるフラワー細胞は稀
    髄液:軽度の蛋白、細胞数の増加(核の分葉化したリンパ球がみられる例もある)
    髄液ネオプテリン:活動性炎症を反映していると考えられているため、病勢の把握に重要です。SRLで測定可能です
    脊髄MRI:脊髄に局所的な病変を指摘できる例はほとんどないですが、長期経過例では胸髄全体が萎縮している場合もあります
    頭部MRI:大脳白質や橋に T2強調画像で高信号域が散在してみられる例があります
    SEP:特に下肢で中枢伝導障害の所見
    針筋電図:傍脊柱筋で軽度の脱神経所見がみられ特徴

病理と病態
病理所見
慢性炎症過程が脊髄,特に胸髄中・下部に強調されて起こっています。
つまり、小血管周囲から脊髄実質に浸潤する T細胞主体の炎症細胞浸潤があり,周囲の脊髄実質(髄鞘や軸索)の変性脱落を伴います
一方で、炎症が終息した部では強いグリオーシスと血管周囲の線維性肥厚が見られます
炎症細胞浸潤は広く大脳を含めて全中枢神経系に広がっていますが、常に脊髄中・下部に強調されていて、生理的に血流の停滞しやすい部位により強い炎症が見られるのかもしれません
病態
もう一つの特徴は非常に長期間にわたって炎症が持続しているにもかかわらず、組織の破壊は緩徐です。HTLV-I のプロウイルスは血管周囲に浸潤している T リンパ球のみに局在していて、神経細胞やグリア細胞など神経組織自体に感染しているわけではありません
つまり、本来の宿主細胞であるヘルパーT 細胞に感染しているだけで、接着因子やメタロプロテイナーゼなどを介しての組織浸潤という形で脊髄に持ち込まれていることが推定されていますが、、、

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