重症筋無力症 診断

重症筋無力症診療ガイドライン 2014


易疲労感や筋力低下の日内変動(朝より夕方に悪化,休息により回復)から疑い,検査で確認します.抗Ach受容体抗体が陽性であれば診断は容易ですが,陰性の場合は,症状や他の検査を組み合わせて診断します.その他、胸腺腫に加え、甲状腺疾患、慢性関節リウマチ、SLE、赤芽球ろう、多発筋炎、多発性硬化症などなどの自己免疫疾患の合併の報告があります。

概念
重症筋無力症は、神経筋接合部において抗アセチルコリン受容体抗体の出現により、ACh受容体が障害されることにより発病します。また、抗AChR抗体が陰性の場合も結構ありますが、そのときは神経アグリン(n-agrin)の結合する筋特異性受容体チロシンキナーゼ(MuSK)に対する抗体、抗MuSK抗体の出現により発病することもあります。

疫学
有病率は7500人に1人以上と決してまれな疾患ではなく、男女比は約1:2で女性に多いようです。
発症のピークは20〜40歳の女性、50歳以上の男性、の二相性ですが、最近は70歳以上の高齢発症例も多く報告されています。

症状
筋の反復運動や持続的収縮によって、外眼・顔面・咬・球筋または四肢・体幹の筋力の低下、易疲労性が起きるのが特徴です。これは、休息や局所筋の冷却によって一時的に回復します。
日内、日差、月差変動があったり、日内変動では基本的に午後になると症状が増悪することが特徴です。
外眼筋障害による眼瞼下垂や眼球運動障害による複視が多いのですが、対光反射など内眼筋障害は殆どありません。
その他、口輪筋や頬筋麻痺による顔面筋力低下、舌・咽頭筋麻痺による嚥下障害・咀嚼障害・構語障害、四肢の筋力低下(近位筋が多い)などの筋力低下も存在すれば全身型と判断します。
片側性のことも両側性のこともある。重症になると呼吸筋麻痺も認めます。
腱反射は正常またはやや亢進していることがある。筋萎縮は稀です。

検査

    血清抗Ach受容体抗体:これが陽性なら決まりです.(3.0以上であれば、特異度100%!!)。陰性であれば、MuSK抗体測定、これも陰性であればLrp4抗体測定
    末梢神経反復刺激試験:反復神経刺激試験における漸減現象を確認します。通常は3Hzの頻度で、10回の刺激をし10%以上の信服の減衰を認めた場合には異常でしますが、眼筋型の場合は陽性率は20―30%程度のようです。その他の、電気性理学的検査として単一筋線維筋電図があります。
    テンシロン(エドロホニウム)試験:眼瞼下垂,眼球運動障害が著明な時でないと,陽性かどうかの判定が難しいです
    テンシロンによる副作用は内因性Ach過剰作用による、線維束攣縮(ニコチン作用)やムスカリン作用としても嘔気、腹痛、下痢、徐脈、低血圧、失神、唾液分泌亢進、発汗で、高度の徐脈や失神などの副作用出現時は、アトロピン0.5-10mgを静注するなどして対処します
    胸部造影ヘリカルCT:多くのMG症例で胸腺腫や過形成などの胸腺異常が見られます。最も頻度が高いのは過形成胸腺(60-70%)で、胸腺腫(10-20%)はそれほど頻度は高くありません、さらに胸腺癌は稀です。過形成胸腺が若い女性に多いのに対して、胸腺腫は高齢者に多い蛍光にあります。治療効果と長期予後は、過形成胸腺症例のほうが良好です。
    201Tlシンチグラフィー、FDG-PET、MRIなどによる胸腺の評価を行うこともあります

抗MuSK抗体陽性重症筋無力症について
血清中の抗AChR抗体陽性のMGをセロポジティブMG(seropositive MG)、陰性のMGをセロネガティブMG(seronegative MG)と呼んで分類していますが、後者の70%は抗MuSK抗体陽性で、胸腺の過形成や腫瘍がなく胸腺摘出術に反応しにくい、抗コリンエステラーゼ薬に対する反応が不定、クリーゼになりやすい、など特徴があります。
筋特異的チロシンキナーゼ(muscle-specific tyrosine kinase, MuSK)は、膜貫通型の蛋白で、筋膜上でアセチルコリン受容体抗体と隣接して存在しています。このMuSKに対する抗体陽性のMG症例が、抗Ach受容体抗体陰性の全身型MGの中に存在します。
臨床的には、顔面筋や舌筋の萎縮を伴うことが特徴的のようです。

抗Lpr4抗体陽性重症筋無力症について
MGの病因となる新たな自己抗体の抗原分子として、神経筋接合部の形成や維持に必須であるLDL受容体関連タンパク質4 (LDL receptor-related protein 4, Lrp4)が注目されています。すなわち、Ach抗体とMuSK抗体の療法が陰性のMG群の約10%程度に、抗Lrp4抗体が検出されます。
Lrp4は筋細胞に発現する膜貫通型タンパク質(推定分子量:215 kDa)で、運動神経の軸索終末端から分泌されるプロテオグリカンであるneural agrinと結合し、その信号をMuSKに伝達することで運動終板上でのAChRの高密度凝集を促進すると考えられています。
その臨床的特徴は、coming soon

鑑別診断

    Neurasthenia
    眼咽頭型筋ジストロフィー:症状の固定、複視なし
    ミトコンドリアミオパチー:症状の固定、複視なし
    頭蓋内圧迫病変
    先天性外眼筋線維症:固定した眼球運動障害、家族歴、斜視
    Lambert-Eaton症候群:脳神経症状は少ない
    ボツリヌス中毒:消化器症状、瞳孔散大
    マグネシウム中毒:突然発症
    先天性筋無力症:多くは新生児、乳児期発症
    有機リン中毒
    Fisher症候群
    周期性四肢麻痺
    甲状腺眼症:多彩な外眼筋麻痺

など

Ach抗体について
Ach受容体抗体には、通常測定する結合抗体に加えて、阻止抗体も存在します

    結合抗体:Ach-Rとα-bungarotoxin複合体に結合します。通常測定している抗体で、基準値<0.1
    阻止抗体:Ach-Rとα-bungarotoxinとの結合を阻害します。(基準値:阻害率<10%)、結合抗体より臨床像と相関する例や、阻害型抗体のみを有する例もあります

重症筋無力症以外に陽性になる疾患は以下の通りです

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください