自己免疫性自律神経節障害 (AAG) 診断

概念
neuronal nicotinic acetyl-choline receptor(ganglionic AchR)に対する自己抗体が、約半数に検出されることがあるため、自己免疫学的な機序が疑われている自律神経節障害疾患です
以前より、autoimmune autonomic neuropathy, acute pandysautonomiaなどと呼ばれてきた疾患の一部はこの疾患と思われますが、2007年Mayo ClinicのPhilip Lowらが急性汎自律神経異常症(Acute pandysautonomia:APD)の症例で自律神経節に存在するganglionic AchRに対する抗体を発見、本疾患の概念を提唱しました。
悪性腫瘍が見つかることもあれば、他の自己抗体が陽性になることもあります

症状
中心は末梢神経由来の自律神経障害です。従って、傍腫瘍性末梢神経障害やセリアック病などautonomic neuropathyの原因となる末梢神経障害が鑑別になります。亜急性の進行性の経過のことが多いですが、慢性の経過の場合は中枢神経疾患のMSA-AやPAF、PD/DLBも鑑別に上がります

交感神経障害症状:起立性低血圧、無汗症
副交感神経障害:膀胱直腸障害、脈拍変動、口渇、瞳孔収縮異常

その他、精神症状(情緒不安定、性格変化、抑うつ、記憶障害、アパシーなど)、運動性 and/or 感覚性末梢神経障害、MG、Stiff-person症候群、脳炎、不随意運動などの合併例も知られています
また、
α3-AchR抗体の抗体価により、臨床的特徴があることも知られています。例えば、高力価では自律神経障害が強く、広範に障害されるのに対して、低力価では局所的に障害され、慢性の経過を呈することが多くPAFとの鑑別が必要になることもあると報告されていたりします。

検査

  • 血液検査:安静時カテコラミン値の低下
  • 自律神経検査:Head-up tilt試験、サーモグラフィー、SSR、発汗検査(ミノール法、QSART:節後線維が優位に障害されます)
  • NCV:末梢神経障害を合併するため
  • 点眼試験
  • MIBG心筋シンチ:高率にH/M比が低下しますので、心臓交感神経節後線維の障害が多いこととの相関が推測されます
  • 脳MRI:基本的にMSAの鑑別のためですが、時に尾状核、被殻に異常信号が検出されることもあります
  • 悪性腫瘍検索:肺癌、乳癌、腎臓、泌尿器系、卵巣系など様々
  • 髄液:軽度の蛋白、細胞数上昇を見ることもあります
  • 皮膚生検:原発性無汗症などとの鑑別のため行うこともあります
  • 自己抗体:α3-AchR抗体測定、その他、GAD抗体、Ach受容体抗体、ANNA-1、VGCC抗体、CRMP-5など

ganglionic AchRについて
ニコチン性AchR受容体は神経筋接合部と自律神経の2つに存在しています。神経型AchRは重症筋無力症などで検出されるような筋型AchRとは抗原性が異なっていて、2つのα3サブユニットを含むことからα3型AchR [α3β4が 代表的]と呼ばれたり、自律神経節に存在することからganglionic AchRと呼ばれたりしています。また中枢神経系では、α4β2サブユニットが代表的です。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください