アテローム血栓性脳梗塞 診断

はじめに
誤解されている方が多いと思いますが、アテローム血栓性脳梗塞とは50%以上の主幹動脈の狭窄(アテローム病変)が、脳梗塞病変と心臓をつないだ通り道のどこかに存在する脳梗塞のことです。LDLが高いからアテローム血栓性脳梗塞ですという、信じられない発表をする医師がいるのですが、それでは医学生レベルです。以下の2つを心がけましょう。

  • 脳梗塞病変と心臓を結んだ主幹動脈(IC、MCA、ACA、PCA、VA、BAなど)の何処かに必ず50%以上の狭窄病変を認める
  • また、脳梗塞は多数認めても良いけれども、片側IC領域(つまりACAとMCA)で全て説明のつく分布で、両側大脳半球など複数の主幹動脈の血管領域に同時に見られることは、特殊な血管の構造をしていない限りない
TOASTでは以下のように分類されます(TOAST分類の詳細は>こちら

検査
脳梗塞の診断において、アテローム病変の存在の有無をはっきりさせることが病型分類に最も重要です。頭蓋内動脈のMRAによる評価だけでなく、必ず頚動脈の評価を行いましょう。まずは50%以上の狭窄病変を探しますが、例外的に、50%未満の狭窄であっても、不安定プラークを示唆する所見(lipid-richなプラーク貯留・潰瘍形成・可動性プラーク)を認める場合も、アテローム血栓性脳梗塞を疑います。
もちろん、アテローム血栓性脳梗塞と決めつけず、心臓超音波検査、凝固異常の検査なども必要です。

  • 血液検査:BNP、D-dimer、LDLなど。LDLが正常値の場合はLp(a)も測定
  • 頚動脈の評価:頚動脈エコー、MRA[頚部及び頭蓋内]、CTA[頚部及び頭蓋内]、脳血管造影検査などです。また、不安定プラークを示唆するアテローム病変の検索には、頚動脈エコー(頚動脈のプラーク性状評価)やMRI(頚動脈のプラークイメージ[T1 black blood]、頭蓋内血管のvessel wall imaging)が有用です。
  • 心臓超音波検査
  • 脳MRI、MRA
ATBI
アテローム血栓性脳梗塞の脳MRI
拡散強調画像(左)、T2強調画像(右):放線冠を中心に虚血病巣が見られますが、皮質にも小さな虚血病巣が見られます。これらは全て病変側の内頚動脈あるいは中大脳動脈の支配領域ですので、どちらかの血管のアテローム病変による脳梗塞の可能性があります。主幹動脈に強い狭窄病変がある場合、A to A的なメカニズムによるのか、このように多発する虚血病巣を来たすことも多く、内頸動脈の評価を行う必要があります。
一方で、アテローム病変が見つからなければ、心原性脳塞栓症、過凝固疾患やIEなどによる脳梗塞の可能性が高くなります。

病態
アテローム血栓性脳梗塞には、血栓性・塞栓性・血行力学性の3種類の機序があります。いずれの機序による脳梗塞であるかを、病歴や画像所見から類推することは、ステントなどを含めた治療法選択に重要です。

  1. 血栓性
    動脈硬化性病変の狭窄度が徐々に進行し、最終的に血栓により急性閉塞する病態です
  2. 塞栓性(artery to artery [A to A] embolism)
    比較的小さなサイズで多発する塞栓症を示唆する画像所見(例:皮質にかかる脳梗塞)が単一の主幹動脈支配領域のみに認められる場合に疑います。このページに掲載したMRIのような症例です。その責任血管に狭窄病変が見つかれば診断可能ですが、特に不安定プラークであるとこのタイプの塞栓がよく起こります。一方で、心原性脳塞栓症との鑑別は容易ではないので、アテローム病変以外の塞栓源がないかどうか[例:心房細動など]、塞栓源をよく検索する必要があります。
  3. 血行力学性
    主幹動脈高度狭窄・閉塞があり、側副血行による代償が不十分な状態の際に血圧低下など灌流圧低下が起こることによって血管支配の境界領域(分水嶺)に発症する脳梗塞。多くは、ACAとMCAの分水嶺、あるいは、PCAとMCAの分水嶺です。その分水嶺に小さく多発する梗塞病変の分布を把握する必要があります。
この小さな多発する梗塞はACAとMCAの分水嶺領域に存在し、血行力学性のメカニズムが主体のアテローム血栓性脳梗塞と考え、病変側の内頚動脈の高度狭窄病変の存在を強く疑います。

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