慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP) 診断

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン〈2013〉

概念
病因は不明ですが、自己免疫的な機序(immune-mediated)により末梢神経の脱髄が生じる疾患です。再発寛解や進行性の経過を示すことも多いため、多発性硬化症の末梢神経版のような疾患です。
重症筋無力症の様に抗体依存性なのか、多発性硬化症のように細胞依存性なのかは不明ですが、双方の要因が複合したもと思われます。臨床的にも病態的にもheterogeneousな状態が含まれています。

  • 抗体依存性:免疫グロブリン療法、抗CD20抗体(リツキサン)療法に反応する。自己抗体も見つかり始めている。P0抗体陽性患者血清でラットに類似の症状を再現できる
  • 細胞依存性:ギラン・バレー症候群と異なり自己抗体が陰性のことが多い。Tリンパ細胞のclonal expansionが見られる。

病型の分類

EFNS/PNS改訂診断基準では、臨床的及び電気生理学的に以下の6つの病型に分類しています(病型と治療は>こちら

1. 典型的CIDP(Typical CIDP)
対称性の運動感覚障害で、遠位と近位筋が同様に侵される

2. 非典型的CIDP(atypical CIDP)

  • 遠位優位型(distal acquired demyelinating symmetric:DADS):遠位優位型の感覚障害で筋力低下を伴うこともある
  • 多巣性感覚運動型(multifocal acquired demyelinating sensory and motor:MADSAM):多発単神経障害パターンで、左右非対称の症状
  • 局在型(focal):一側の上肢などに限局した運動感覚障害で、非常に稀
  • 純粋運動型(pure motor):対称性で臨床的、電気生理学的に運動神経障害のみ。非対称性でGM1 IgM抗体が検出されるMMNと鑑別が必要
  • 純粋感覚型(pure sensory):対称性の純粋感覚障害

CIDPと自己抗体
最近、CIDPに関連する自己抗体が多く見つかっています。検出された抗体に関連した臨床症状の違いが少しづつ判明しています。また、特にIgG4サブクラスの抗体は、Renvier絞輪部の病態にチャック目したnodopathy/paranodopahtyという概念が提唱されるきっかけとなりました。

  • NF155抗体(IgG4主体):振戦や失調症状を伴う、比較的対照的な四肢の運動感覚障害で若年発症が多い。神経根などの神経肥厚が目立つ。髄液蛋白の増加が目立つ [proposal of diagnostic criteria]。中枢病変を合併することもある(i.e. CCPD)。
  • Contactin-1抗体(IgG4主体):高齢に多く、運動失調を伴うことが多い。髄液蛋白の増加が目立つ
  • NF140/186(IgG4主体)
  • Caspr1(IgG4主体):振戦や痛みの例の報告
  • LM1抗体:高齢に多く脳神経障害は稀で、運動失調を伴うことが多い

検査
初発の場合、診断は決して簡単ではありませんし、他の疾患の除外も重要です。鑑別すべき脱髄性末梢神経障害の一覧はこちらの総説によくまとまっています。
髄液:髄液蛋白の著増、細胞数は増加しない
電気生理学的検査:ガイドラインの診断基準を参考、CB検索に適宜SEP、MEPも
血液検査:CIDP関連自己抗体の測定(上記)、免疫グロブリン増加(単クローン性)の有無を確認、他疾患の鑑別目的で、IgMにclonalityが検出された場合はMAG/SGPG抗体を提出、その他、糖鎖抗体測定、VEGFはPOEMS症候群の鑑別が必要な場合に提出(これらの鑑別には、適宜骨シンチやPETも)
神経エコー:神経腫大やエコー輝度変化(低下は浮腫?上昇は繊維化?)
造影脊髄MRI:馬尾、神経根、神経叢の腫大や造影効果
腓腹神経生検:小池先生は電顕によるマクロファージの変化を重視しています [ref]。光顕では、神経上膜内の小血管周囲やfascicule内に少数のリンパ球浸潤。現在進行形の脱髄を示唆するnaked axon、thin myelinated fiberの増加、稀にonion bulb
脱髄、再髄鞘化の所見が電顕で5つ以上の線維、あるいはときほぐしで6/50以上の線維にあるとCIDPを示唆する所見ですが、認められなくても否定はできません。

CIDPに見られたconduction block (CB;伝導ブロック):ここでは、肘上部と腋窩の間にブロックがあります

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