脳硬膜動静脈瘻 診断

疫学
硬膜に発生する異常な動静脈短絡を病態とする疾患で、頭蓋内動静脈奇形(頭蓋内動静脈短絡疾患)の10-15%を占めます
60%は中年女性と、若干女性に多い傾向があります

発生部位
多くは硬膜を栄養する動脈が流入血管となりますが、稀に脳軟膜動脈が関与する場合もあります。
短絡部位の頻度は以下の通りですが、前頭蓋底、小脳天幕部、大脳円蓋部など硬膜静脈洞から離れた部位で発生することもあります
横静脈洞>S状静脈洞>海綿静脈洞

成因
特発性が多いのですが、以下のような原因によりごく小さな生理的硬膜動静脈チャンネルの拡大を引き起こし、硬膜動静脈瘻を引き起こすと推察されています

    腫瘍の圧迫による静脈側の閉塞性変化
    外傷や手術
    静脈洞血栓症

症状
本疾患の本体は静脈性高血圧ですので、臨床的には鬱血症状、静脈性出血、steal症状などを引き起こします
頭蓋内静脈圧亢進症状:頭痛、視力障害、構音障害、歩行障害、認知障害など
部位固有の症状
海綿静脈部硬膜動静脈瘻

    拍動性眼球突出、結膜充血(corkscrew vessels)・浮腫(chemosis)、拍動性耳鳴、眼球運動障害による複視、頭痛、極稀に脳幹の鬱血による脳幹症状を合併することがあります

横-S状静脈洞部、上矢状静脈洞部、静脈洞交会部硬膜動静脈瘻

    Borden typeI [参考]:拍動性の耳鳴り、乳突部のBruit
    Borden type II or III:側頭・頭頂葉の静脈性浮腫や出血による局所神経症状、痙攣

診断
色々検査法はありますが、MRI、MRAでスクリーニングを行い、アンギオで確定診断を行うのが効率が良いと考えます

    血管造影(DSA):診断のゴールドスタンダードで、いまだに必須の検査です
    頭部CT:動静脈瘻の検出は困難ですが、頭蓋内出血、静脈性浮腫が検出されることがあります
    頭部造影CT:逆行性潅流を呈している静脈が、脳表の点状/線状の高吸収域として描出されることがあります。また、前方潅流のあるCCFでは、眼窩内の上眼静脈が太く描出されるのが特徴的です
    CTアンギオ:潅流静脈が描出されることもありますが、比較的検出率は悪い印象があります
    脳MRI:T2強調画像の静脈のFlow voidをしっかり探してください。CCFは海綿静脈洞部が拡張して見えることがあります
    脳MRA:流入する外頸動脈系が強調され、同時に罹患静脈洞が描出されることがあります。原画像もしっかり確認してください
    MRDSA(MR digital subtraction angiography):造影剤を使用し、動脈相早期に流入静脈が描出されるか確認しましょう
    MRV:静脈洞血栓症などの検出目的でも使用できます

medspinal
脳幹-頚髄MRI:T2強調画像(左)では脳幹から上位頚髄にかけて広範囲に高信号を認め静脈うっ血によるものと考えます
Gd造影T1強調画像(右)では脊髄前面、後面にも少し拡張した静脈が造影剤により描出されます。これだけ太い血管は動脈ではあり得ませんので、静脈の拡張の可能性がかなり高いと判断できます
angio avf
血管造影(左):緑矢印の部位は、中硬膜動脈からのAVFの部位です。そこから静脈に流入し、前脊髄静脈が拡張、蛇行しているのが確認されます(赤矢印)
3D CTA (右):CTAでも拡張した静脈を捕らえられることがあります

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