脳血管性認知症 診断

概要と疫学
脳梗塞、脳出血が多くの場合多発することによって、認知機能障害を来たす疾患です。DSM-IV(DSM-IVでは脳血管性認知症とはいわず血管性認知症という)では認知症の状態にくわえ「局在性神経徴候や症状または臨床検査の証拠が認知症に病因的関連を有すると判断される脳血管性疾患を示す」を条件としています。
推定患者数(本邦):30-40万人
認知症患者の30-40%(原因の第2位)と、アルツハイマー型認知症とともに、認知症の原因疾患の2大病型の一つです

分類(NINDS-AIREN国際ワークショップ)
しかし、血管性認知症の病型は多彩で以下のように分類されます

    1.多発性梗塞性認知症(多発性の大きな完全梗塞によるもの)
    2.認知症の成立に重要な部位の単発梗塞による認知症
    3.小血管病変による梗塞に伴う認知症
    4.低潅流によるもの
    5.脳出血による認知症
    6.その他(上記病変の組み合わせ、ないし他の要因によるもの)

[Neurology 1992;42:473-480]
もう少し詳しくは以下の様になります(クリックして拡大)
vad synopsis
Eur Neurol 2008;60:217-223

症状
DSM-IVによる VD の診断基準
A.多彩な認知障害の発現. 以下の 2 項目がある.

    1.記憶障害(新しい情報を学習したり,以前に学習した情報を想起する能力の障害)
    2.以下の認知障害が 1 つ(またはそれ以上):
    a.失語(言語の障害)
    b.失行(運動機能は障害されていないのに,運動行為が障害される)
    c.失認(感覚機能が障害されていないのに,対象を認識または同定できない)
    d.実行機能(計画を立てる,組織化する,順序立てる,抽象化すること)の障害

B.A1 および A2 の認知障害は,その各々が,社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし,病前の機能水準からの著しい低下を示す.
C.局在性神経徴候や症状(例:腱反射の亢進,病的反射,仮性球麻痺,歩行障害,1 肢の筋力低下),または臨床検査上その障害に病因的関連があると判断される脳血管障害(例:皮質 や皮質下白質を含む多発性梗塞)を示す.
D.認知障害はせん妄の経過中にのみ現れるものではない.

検査
認知症の鑑別診断ですので、アルツハイマー病との鑑別が最も重要ですが、アルツハイマー病であっても多少の白質の虚血性病変は出現するため、必ずしも鑑別は容易ではありません

    認知機能検査
    脳MRI
    脳SPECT
    髄液Tau、Aβ42
    脳血管障害の危険因子の検索

vad
左:FLAIR、右:T2*強調画像
この場合は、大脳深部白質がびまん性にFLAIRで高信号(一部左MCA領域に梗塞あり)で、T2*では微小出血が見られます。虚血性白質脳症ですので、CADASILなどの可能性も考えられます
しかし、血管性認知症はこのようなタイプ以外にも、脳梗塞の多発、単発でも視床病変などなど様々な画像所見を取りえます

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