一過性脳虚血発作(TIA) 診断

はじめに
一過性脳虚血発作(transient ischemic attack: TIA)の治療は、脳梗塞を予防する上で最も重要です。TIAは以前は、「24時間以内に完全に消失する局所神経症状」とされていましたが、MRI拡散強調画像など脳画像の進歩により、症状の持続時間が24時間以内であっても、多くのTIAに急性期虚血病巣が見られることから、2009年の米国脳卒中学会(ASA)の声明では、時間制限をなくし「局所の脳、脊髄、網膜の虚血により生じる一過性の神経機能障害で、画像上、梗塞巣を伴っていないもの」と定義されました。

検査
TIAの原因としては、内頸動脈を含めた主幹動脈狭窄あるいは心房細動が多いので、速やかな検索のもと最適な再発予防薬を選択する必要があります。

    脳MRI、MRA:発症24時間以内に施行すべき検査です。脳実質内に虚血性病変がなくても、FLAIRによる軟膜動脈高信号や主幹動脈狭窄病変が検出されることもしばしばあります
    頚動脈エコー、頚動脈CTA、頚動脈MRA
    心エコー、心電図、ホルター心電図、場合によって経食道心エコー
    血液検査
    脳波:時に単純部分発作によりTIAに似た一過性の片麻痺などを来すことがあります、特に主幹動脈狭窄がなく、塞栓源もない場合などは、発作波の検索が必要になります

tia dwi
一過性の左麻痺を来した型。FLAIR画像(左)では、右大脳半球に軟膜動脈の高信号を認め、拡散強調画像(左)ではspottyな虚血性病変を認める。特に拡散強調画像での高信号は梗塞を示すため、神経症状が一過性であってもTIAでなく脳梗塞(minor stroke)に分類されると考えられます

TIAの検査や治療に関する推奨
Class I推奨

    TIA症例には症候発生24時間以内に神経画像評価を受けるべき(できればDWIを含むMRI)
    頭頸部血管の非侵襲的画像検査は、TIAの疑われる患者の評価の一つとして日常的に行われるべき
    頭蓋内血管の非侵襲的検査は、頭蓋内血管狭窄の存在を確実に除外し、そして治療法選択に重要な情報となる。その頭蓋内血管の狭窄程度の正確な診断をするためには、カテーテルを用いた血管撮影が必要となる
    TIAの疑われる患者は発作後できるだけ早期に評価されるべきである

Class II推奨

    内頸動脈内膜剥離術(CEA)施行前に、非侵襲的検査のみが行われていた場合は、2つの非侵襲的検査で同一所見が得られることを前提とし、さもなければ、カテーテル血管撮影を考慮すべきである
    プラーク性状、微小塞栓シグナル(MES)の検出の役割はいまだ明らかにされてはいない
    心電図はTIA後できるだけ早期に施行すべきである。長期心電図モニターは、初回神経画像検査及び心電図後に原因が不明な場合に有用である
    心エコーは、他の検査によって原因が明らかでないTIA患者の評価として合理的である。経食道心エコーは、PFO、大動脈弓動脈硬化、弁膜症の同定に有用であり、これらの疾患の同定により治療法を変更する場合には合理的である
    血算、生化学、凝固、脂質などのルーチンな血液検査は、TIAの疑われる患者の評価に合理的である

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