ハンチントン病 診断

概念
簡単に言えば、舞踏運動及び認知機能障害(知的障害)を来すトリプレット・リピート病の一種で、常染色体優性遺伝性疾患です。
脳画像では尾状核の萎縮が特徴的です

頻度
日本では10万人に0.4人程度。浸透率は50%程度です

症状

    舞踏運動(Chorea):最初は単に落ち着きが無いと思われる程度ですが、次第に、四肢末端から顔面、体幹へ広がります。顔面に広がると、顔をしかめる、口をすぼめる、頸部を振るなどの状態が観察されます。
    精神症状:性格変化、易刺激性、抑鬱、知能低下、時に自殺企図(親族に自殺者が多いこともあります)
    認知機能障害:注意力障害、記銘力障害
    若年発症の筋強直型:Westphal型では寡動、振戦、固縮などが出現することもあります

検査

    脳画像:尾状核の萎縮
    遺伝子検査:Huntingtin遺伝子(IT15遺伝子)(4p16.3) CAGリピート延長(36から121程度)、リピートが伸張するほど若年発症で、表現促進現象(anticipation)が特に父親からの遺伝で起こりやすいといわれています


脳MRI T2強調画像:両側の尾状核の萎縮によって、側脳室前角が拡大しているように見えます
鑑別診断
成年期に舞踏運動と知的障害を呈して、脳MRIにて尾錠核の萎縮があり、常染色体優性遺伝を示す家族歴があればこの疾患を疑うことは難しいことではありません。しかしながら、新規mutationなど約8%に家族歴がはっきりしない場合が認められ、鑑別診断、遺伝子診断が必要となります。
舞踏運動を呈する疾患の鑑別として以下のような疾患があります

    Huntington’s disease-like disorders (HDL1-4)
    Neurodegeneration with brain iron accumulation:PANK2遺伝子変異
    Prion diseases
    Benign hereditary chorea
    傍腫瘍性疾患:CRMP-5/CV2, Hu, Yo, NMDAなど
    McLeod症候群
    DRPLA
    SCA17
    L-dopa誘発ジスキネジア
    薬剤性chorea
    SLE、APS
    Autoimmune chorea[ref]
    線条体の脳血管障害
    高血糖状態
    有棘赤血球舞踏病

本邦で多いDRPLAは、遺伝形式や成人発症で舞踏運動と痴呆を呈することが共通するのですが、ハンチントン病では明らかな小脳運動性失調やてんかん発作を伴うことが多いなどの点で臨床的に鑑別できます。
父親が中間アレルをもっている場合や、親が発病前になくなっているときには家族歴が明らかでないこともあります。最終診断ではDNAを用いてハンチントン病遺伝子のCAGリピート数の増加を確認することが重要です

Huntingtin遺伝子の特徴
ハンチントン病の原因として同定された蛋白Huntingtinをコードする遺伝子は、最初のエクソン内にあるCAGリピート数が、正常者の35回以下に対して患者では36回以上となっています。
リピート数が40回以上では確実に発病するのですが、36〜39回では浸透率が低下して、必ずしも発病するとは限りません。
中間アレルと言われるリピート数が30〜35回のアレルを父親が持つ場合には、子供への伝達の際にリピート数が増加し疾患アレルとなり、子供が孤発性HDとなることがあります

ChoreaのVideo powered by YouTube

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