細菌性髄膜炎 (Bacterial meningitis) 治療

1. 日本神経治療学会治療ガイドライン:必ず熟読されてください。
2. 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン (書籍)

大まかな流れとしては、細菌性髄膜炎を疑った場合、脳CT、血培、髄液検査、髄液培養を行った直後から、デカドロン投与し、その直後にメロペンなどを速やかに投与します。その後、脳波やMRIに移行します。
年齢、免疫能が正常か、脳手術後なのか、などなどの条件で選択する抗生物質は変わってきますがそのような特殊な事情がない場合には下記の抗生剤を選択してください。治療ガイドラインがとても参考になります。もちろん、副鼻腔炎、中耳炎、感染性心内膜炎、硬膜下膿瘍などのチェックは数時間以内に行ってください。多くの成人市中感染は以下の治療になります。

    肺炎球菌:耐性菌の場合はバンコマイシン投与は必須です
    リステリア菌:単核球有意の細胞数上昇を示すことがあり、また髄液培養検査での細菌同定も1週間ほどの長期培養で初めて検出されることもあり、時に誤診、あるいは診断に難渋します。リステリア菌を疑った場合には、ABPCの投与は必須です。
    肺炎桿菌:起炎菌として、成人では非常に希ですが、CTX or CTRXの感受性が良く使用されることが多いと思います。それから、カルバペネム系も効果あります

抗生物質処方例(Empiric)

1. カルバペネム系抗菌薬+バンコマイシン
カルベニン 1.0g/回 6時間ごとに静注 あるいは、メロペン2.0g/回 8時間ごとに静注

(バンコマイシン500-750mg/回 6時間ごとに静注)
日本のガイドラインにはバンコマイシンの投与はカルバペネム系の場合必ずしも必要ないと書かれています。一方で、stanford guidelineでは併用するよう書かれています。
上記が推奨されている投与量ですが、
メロペンは保険適応は1日2gまで
カルベニンは保険適応は1日2gまでしか認められていません。

2.第三世代セフェム系抗菌剤+バンコマイシン 1g/day
セフォタックス2.0g/回 4-6時間ごとに静注 (あるいは、ロセフィン2.0g/回 12時間ごとに静注) +バンコマイシン500-750mg/回 6時間ごとに静注

3.ABPC 12g/day + セフォタックス 8g/day + バンコマイシン 1g/day
ビクシリン2g 4時間ごとに静注 + セフォタックス2.0g/回 4-6時間ごとに静注 (ロセフィン2.0g/回 12時間ごとに静注) +バンコマイシン500-750mg/回 6時間ごとに静注
髄液の細胞増多が単核球の割合も多い、脳実質内に異常信号が見られるなど、リステリア菌の可能性も疑われる場合は、ABPCの投与が必須のため、Empiricにはこのプロトコールをお勧めします

注意:ロセフィンは、ラクテックなどカルシウムの混入した溶媒と同一ルートで投与すると腎臓や肺で析出し、致死的となる場合があり、ラクテックと同一ルートでの投与は禁忌です。そのため、セフォタックス(クラフォラン)の方が使いやすいと思います。
起炎菌同定後、薬剤感受性に従い適宜抗体菌薬を切り替える。

急性期の副腎皮質ステロイド薬
強い炎症を抑制するため抗生物質の投与の10-20分前または同時にデキサメサゾンの投与が推奨されています。ただし、すでに上記の抗生物質が投与されている場合、デカドロンが予後を改善させる根拠は今のところありません。
デキサメサゾン(デカドロン) 0.15mg/kg 6時間毎(一日4回) 2-4日間

その他
脳圧亢進に対する、グリセオール、マンニトール。痙攣予防に対して、アレビアチン250mg/日など。てんかん重積の治療プロトコールは>こちら

静注用バンコマイシンの初期投与量
これはあくまで初期投与量であるので、5回目投与以降で必ずTherapeutic Drug Monitoring(TDM解析)を行い、最適投与量、投与回数を決定してください
クレアチニンクリアランス    投与間隔
>60ml/min     1回15mg/kg 12時間毎静注
40-60 ml/min   1回15mg/kg 24時間毎静注
20-40 ml/min   1回15mg/kg 48時間毎静注
<20 ml/min    15 mg/kg 1回静注⇒その後は血中濃度によってTDM担当者に相談

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