脳原発悪性リンパ腫 診断

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概念
高齢者に多い、あるいはHIV症例に多く合併する脳腫瘍です。脳にはリンパ系組織はないかのに、なぜ悪性リンパ腫が発生するのかはまだわかっていません。
脳原発のものは、ほとんどがnon-Hodgkinリンパ腫 (NHL)で,B 細胞性リンパ腫(大細胞型)が約80〜90%を占めます

検査
中枢神経感染症、サルコイドーシスなど肉芽腫性疾患、その他の腫瘍性疾患(gliomaなど)、MSなどの脱髄性疾患に関する鑑別を速やかに行ってください。
細胞診、生検による確定診断、及び脳原発か二次性であるのかにより治療法も異なりますので、全身臓器のリンパ腫の有無の確認が必要です。

    血液検査:s-IL2R
    骨髄穿刺、骨髄生検
    髄液検査:β2-MG、s-IL2R、細胞診は最低3回は提出、細胞数が多ければflow cytometry、gene rearrangement検索も
    全身造影CT
    Gaシンチ
    FDG-PET:全身臓器の集積の他に、中枢神経に局所的集積があるかどうかも忘れずに確認してください。悪性リンパ腫であれば必ずhot spotになるはずです
    メチオニンPET:腫瘤形成性MSなどではメチオニンの集積はほとんど見られませんが、リンパ腫では高集積します
    脳造影MRI:著名な造影効果を有することはもちろんですが、ADCの低下を反映してDWI(拡散強調画像)の高信号が目立つという所見も有名ですが、それほど感度も特異度も高くありません
    眼科受診:ocular lymphomaの有無や、ブドウ膜炎の有無を
    脳タリウムSPECT:retention indexでトキソプラズマとの鑑別にトライ
    脳生検:極力病理学的なconfirmが必要です

PCNSL

Gd造影後T1強調画像では、脳室周辺、脳弓に造影増強効果を認め、同部位はFDG-PET(右下)でのグルコース代謝がかなり亢進しています

病理
N/C比の高いリンパ球様の細胞が密集します。病理学的に鑑別が難しいのは膠芽腫ですので、CD3, CD5などのPan-T cell marker、CD20などのB-cell markerが陽性かどうかは重要な所見です。
また、Ki-67、GFAP、Oligo2なども行い膠芽腫との鑑別を行います。

PCNSLの特殊な病型
多くの場合、Gd造影増強効果を伴う孤発腫瘍として検出されることが多いですが、以下のような特殊な病型も報告されています。

    Lymphomatosis Cerebri
    白質脳症の鑑別の一つになるような造影されないびまん性の白質病変を呈す病型です。リンパ腫細胞が原因であるにも関わらず造影されないのはBBBが保存されているためともされています。この病型の場合には、多くの場合diffuse large B cellで、免疫正常者での発症がほとんどです。
    症状:亜急性の認知症や、小脳失調
    画像所見:大脳の左右対称性の白質病変で、深部白質、基底核、脳梁、小脳に異常信号を認め、基本的に造影されませんが、病期が進行するとGd造影されるようになることもあるようです

Primary leptomeningeal lymphoma

    PCNSLの7%を占める稀な病型で、リンパ球細胞浸潤が髄膜のみで、全身性にも脳・脊髄実質にも認めないものです。この病型の場合、多くはB細胞性のようです。
    症状や画像は、癌性髄膜炎同様です。

AIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫とEBV

    HIV感染者には高率に悪性リンパ腫が続発します。そのほとんどが非HIV感染者に発生する悪性リンパ腫と異なって、リンパ節外の臓器を原発部位とするのが特徴です。この中で脳を原発部位とするものをAIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫(AIDS-associated primary central nervous system lymphoma:AIDS-associated PCNSL)と呼びます。
    その頻度は、HIV感染者では非HIV感染者と比較して約3600倍と高く、通常、血中のCD4陽性Tリンパ球数が50/μl以下で発症するとされています。
    病理学的には95%以上が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で、リンパ腫細胞にEBVが検出されます。AIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫の発生に関しては、次のような機序が推定されています。
    1. EBVが再活性化する
    2. EBV感染によりBリンパ球が不死化し、悪性リンパ腫細胞(CD18)が出現
    3. 慢性炎症やリンパ腫細胞からIL-8産生され、リンパ腫細胞上のCD18の発現がさらに増強
    4. CD18とICAM-1の相互作用で、リンパ腫細胞が脳の血管内皮に接着し、やがて血液脳関門を通過
    5. 細胞障害性T細胞はHIV感染の影響で機能が低下し、悪性リンパ腫細胞を排除できず、中枢神経内で悪性リンパ腫細胞が増殖する
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