概念
MTX長期投与に伴い出現するリンパ腫で、WHO分類ではMTX-LPDは免疫不全に伴うリンパ増殖性疾患に分類されています。
疫学
発症頻度は明らかではないのですが、比較的高齢者に多く、MTX投与後平均3年で発症しています
MTX-LPD発症例のMTX投与期間は平均30ヶ月(2-108ヶ月)、総投与量は平均1500mg (180-3600mg)
現病のほとんど(85%)はRAですが、尋常性乾癬、皮膚筋炎などの報告もあります
移植後リンパ増殖性疾患のような100%の関連はないのですが、MTX-LPDでは60%程度EBVが組織に証明され、EBV感染、再活性化との関連が注目されています。すなわち、通常,EBV感染B細胞は細胞傷害性T細胞の働きにより増殖が抑制されていますが、宿主免疫低下により潜伏感染しているEBウイルスが再活性化され増殖して発症するという仮説があります。
MTX中止により、約半数例、特にEBV関連では自然退縮が見られる特徴があります
症状
- 発熱、体重減少などの全身症状
リンパ節腫脹
皮膚や肺などのリンパ節外病変
検査
- 全身造影CT、FDG-PET、Gaシンチなど
血液検査:LDH上昇、s-IL2R上昇、CRP軽度高値、EB抗体、EB-PCRなど
リンパ節生検:EBER in situも。組織学的には、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫,ホジキンリンパ腫が多く、特にdiffuse large〜mixed B cell lymphomaの頻度が高いようです。
全身のリンパ節腫大、リンパ節外病変が検出されます
生検されたリンパ節ではEBER (EBV-encoded small RNA) in situ hybridization (EBER-ISH)法での陽性シグナルが見られることが多く、発症にEBVの関与が示唆される例が多く存在します。
治療
1. MTX中止
特に、EBV陽性例はMTX中止により自然退縮が得られやすいようです
自然退縮率:EBV陽性例は60%、陰性例は40%
2. CHOPなどの化学療法
中止後、2週間でリンパ節腫脹など臨床症状の改善がなければ化学療法を考慮します