ビタミンB1欠乏症 診断

病態
胃切除後などによりビタミンB1が低下するといわゆる脚気になります。浮腫、心不全以外に、神経内科領域では軸索障害型末梢神経障害、Wernicke-Korsakoff症候群が該当する病態で、今でもしばしば遭遇します

原因

    胃切除
    中心静脈栄養時にビタミン補充を忘れる
    嘔吐/下痢
    妊娠悪阻
    強い偏食

症状

    1. 末梢神経障害
    いわゆる手袋靴下型の運動感覚性末梢神経障害を来します
    2. 脳神経症状
    外眼筋麻痺、小脳失調(1.と同時に出現するとFisher症候群と似た臨床像を示すこともあります)
    3. 脳症
    意識障害、認知機能障害、作話、健忘などなど。最も後遺症として残りやすいのがKorsakoff脳症です。
    4. 心不全
    5. 浮腫
    6. 希にミオパチー

検査

    血液検査:必ず補充前にビタミンB1測定。その他、ついでに葉酸、VitB12、VitB6も測定しておきましょう
    脳MRI:中枢神経症状があるとき
    心機能評価
    末梢神経伝導速度検査:電気生理学的にも、末梢神経病理学的にも軸索障害型になります

WE
WE DWI

脳MRI(FLAIR; 上段、DWI; 下段左、ADC; 下段右)
T2高信号の異常領域は、中脳水道周囲、視床、乳頭体、小脳上部の順に見られることが多い印象があり、稀に大脳皮質にも異常信号を認めた例も報告されています
拡散強調画像 (DWI)は高信号ですが、ADC値の低下は目立たず、T2 shine throughの影響が強い、すなわちvasogenic edemaが疑われるということでしょうか???

豆知識
チアミンthiamine(ビタミン B1)はピルビン酸やα-ケトグルタル酸などのα-ケト酸や分枝アミノ酸の脱炭酸反応に作用することで、エネルギー産生に関与している。酵母、豚肉、豆類、牛肉、全粒の穀類にはチアミンが豊富に含まれているが、脱穀精米した白米にはわずかしか含まれていないため、米を主食にしている地域では欠乏症が比較的高頻度に認められる。また、紅茶、コーヒー、生魚、甲殻類にはチアミンを壊すチアミナーゼ thiaminazeを含んでいるため、大量のコーヒーやお茶を飲むことは体内のチアミンを理論上減少させることになる。また、アルコールはチアミンの吸収や代謝を直接阻害することも知られている。
 チアミン欠乏症のほとんどは摂取不足により、先進国ではアルコール依存症や悪性腫瘍などの慢性疾患が原因となることが多い。チアミン欠乏症の初期症状には、食欲低下や被刺激性などの不定愁訴があり、長期化すると脚気(beriberi)が起こる。beriberiには浸潤型(wet beriberi)と乾燥型(dry beriberi)があり、慢性的なチアミン欠乏に陥ったアルコール依存症患者はWernicke脳症(水平性眼振、眼筋麻痺、小脳失調、精神障害)を認める。これに記憶減退や作話の症状が加わると、Wernicke-Korsakoff症候群と呼ばれる。

  • Wet beriberi:心筋のエネルギー代謝障害と自律神経障害による心血管系の障害 →心肥大、頻拍、高拍出性うっ血性心不全、末梢浮腫、末梢神経炎など
    Dry beriberi:下肢に強い末梢感覚・運動神経の障害、深部腱反射の消失
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