心因性不随意運動(PMD; psychogenic movement disorders) 診断

はじめに
神経内科医であれば、不随意運動を来す疾患を網羅的に検索しても原因がなく、心因性と考えざるおえない不随意運動をしばしば経験すると思います。一方で、近年これらの心因性不随意運動を積極的に診断する試みがなされてきています。
心因性不随意運動は、振戦が圧倒的に多く、次にジストニアが多いようです。舞踏運動の報告もありますが頻度はかなり低く、心因性movement disorderの2-5%程度のようです。以下の特徴が総説によく記載されています。

A) Historical(病歴)

    1. Abrupt onset(急性発症)
    2. Static course(非進行性)
    3. Spontaneous remissions(自然寛解)
    4. Obvious psychiatric disturbance(明らかな精神障害の合併)
    5. Multiple somatizations(複数の身体化障害)
    6. Employed in health profession(医療従事者)
    7. Pending litigation or compensation(係争中の訴訟をかかえる)
    8. Presence of secondary gain(二次的利益の存在)
    9. Young age(若年、女性)

B) Clinical(臨牀徴候)

    1. Inconsistent character of movement (amplitude, frequency, distribution, selective ability)
    一貫性に乏しい症状(頻度,振幅,分布など)
    2. Paroxysmal movement disorder(発作性)
    3. Movements increase with attention or decrease with distraction
    (注意させると増加し,気をそらさせると減少する;非常に重要な所見です!)
    4. Ability to trigger or relieve the abnormal movements with unusual or non physiological interventions. (e.g trigger points of the body)
    (非生理的な不随意運動の誘発,消失(トリガーポイントの存在など))
    5. False weakness
    (偽の筋力低下)
    6. False sensory complaints
    (偽の感覚障害)
    7. Self-inflected injuries(自傷行為)
    8. Deliberate slowness of movements(意図的な運動遅延)
    9. Functional disability out of proportion to exam findings
    (診察所見を超える機能障害)
    10. Movement abnormality that is bizarre, multiple or difficult to classify
    (奇妙で,多発する,分類困難な運動異常)

C) Therapeutic responses(治療反応性)

    1. Unresponsive to appropriate medications(適切な治療に対して反応不良)
    2. Response to placebos(偽薬が有効)
    3. Remission with psychotherapy(精神療法で寛解)

PMD診断のためのビデオプロトコール(J Neuro Sci 2007: 263; 94-99)
以下の連続したタスクを座位で行います。PMDでは、主に5番目のタスクで振戦が減弱し、8.9.番目のタスクで暗示にかかり、11番目のタスクで振戦が増強する特徴があるようです

    1.座位で手を腿の上において10秒間
    2.腕を前にのばして指広げて10秒間
    3.腕を外転させ、肘を曲げる
    4.指鼻試験(各上肢5回)
    5.片手ずつD2, D5,D3の順にfinger tapping 10回
    (反対の腕は前に伸ばして)
    6.片手ずつ手首を1-2Hzでゆっくり曲げ伸ばし 10回
    (反対の腕は前にのばして)
    7.各手で、大腿を速めに10回tappingする
    8.腕を伸ばした状態で「過呼吸で振戦が大きくなる」と被験者に伝え、10秒間過呼吸をしてもらう
    9.腕を伸ばした状態で、「からだに震えるものが触ると振戦がよくなります」と被験者に伝え、音叉を額に止まるまで当てる(2回)
    10.腕を伸ばした状態で、serial 7sをやってもらう
    11.片手ずつ、机に手をつけないようにしてアルキメデスのらせんを書いてもらう

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