第6回日本脳卒中学会認定脳卒中専門医試験、ぎりぎり合格体験記 2010年初夏

脳卒中専門医試験 問題・解説集
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2011年に、脳卒中専門医試験の問題集が発売されたようです。要Check it out!
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日本神経学会専門医試験の情報は充実していると思いますが、日本脳卒中専門医試験に関する情報は少ないと思うので、記載しておきます。
1. 受験資格を得る
脳卒中のサマリーを10人分、日本脳卒中学会での発表、脳卒中に関する論文が、試験を受けるにあたり必要です。
脳卒中のサマリーに関しては、神経内科ではあまり脳出血、くも膜下出血などを見ませんが、今回は以下の症例群を提出しました。外科的な治療は少ないのですが、受験票をもらうことが出来ました。

    Trousseou症候群(卵巣癌)
    椎骨動脈解離(Wallenberg症候群)
    脳塞栓症(t-PAなし)
    脳塞栓症(t-PAあり)
    急性脳底動脈閉塞症(i.a. t-PA)
    脊髄硬膜動静脈瘻による脊髄うっ血
    ラクナ梗塞
    感染性心内膜炎による脳梗塞
    一過性黒内障(CEAで脳外科転科)
    CADASIL

また、脳卒中に関する論文、学会発表ともに齧歯類の脳梗塞モデルを使用した基礎研究内容であり、臨床系の発表や論文は持っていませんでしたが、受験資格を得ることが出来ました。

2. 試験勉強
一般的には、専門医試験は「脳卒中」という日本脳卒中学会が発行している雑誌の後ろに、ほぼ毎回過去問が載っていて、これを解いておけば大丈夫と言われています。なので、今回はこれを集めて解くことにしました。集めた過去問自体は、良問が多く、難しくはないなという印象です。
最近、雑誌「脳卒中」はオンラインで閲覧可能ですが、過去問のページはオンラインでは閲覧できないのでいちいち過去の雑誌からのコピーが必要です。
一方で、2011年に過去問をまとめた問題集(脳卒中専門医試験 問題・解説集)が発売されたようです。効率よく過去問をチェックするにはとても役立つと考えられます。是非、購入を。

3. 試験
結局誰もがそうだと思いますが、忙しくて過去問を適当に解いた程度で試験に臨みました。
前日の飲み会、カラオケ、夜中のアルゼンチン対ドイツ戦後(この年はワールドカップが開催されていた)に、二日酔のためタクシーで東京駅の隣の試験会場へ。試験問題は2時間で100問が2回なので、計4時間、200問でした。冷房が強いので、長袖も持って行った方がよいでしょう。僕は短パン半袖&裸足だったので震えてました。お昼は、1時間。コンビニとイタリアンレストランが建物内にあります。
前半の試験と、後半の試験は選択肢の選択方法が多少異なりますが、問題の分野が異なる印象は特にありません。淡々と脳卒中のあらゆる分野の問題、症例問題などが続きます。画像もふんだんに使用されていて、良くできています。できれば、答えをもらって勉強したいと思えるほどの良問ぞろいです。
一方で、治療法の選択肢は、必ずしも一つに絞りきれないものもあります。記憶に残っている範囲では、妊娠後期にSAHを起こした場合の対処法など(要は、全麻かエピか、母体か胎児か、帝王切開するか?開頭するか?とかそういう問題)。一つ選択するのですが、どうしても2つ以下には絞りきれませんでした(脳外麻酔科医の妻にも確認したのですが。。。)。ただ、このような理不尽を感じる問題はそれほど多くなく、出題者の意図をよくくみ取り、素直に答えることが重要と思います。神経内科医に多いですが、例外的な細かいところにとらわれることは百害あって一利なし。
過去問からの出題は残念ながら3割程度。その他は、ほとんど初めて見る問題が多かったように思います。なので意外と難しい印象を持ちました。
以下に反省点を上げますので、第7回以降の日本脳卒中学会認定専門医試験を受けられる方は参考にして下さい。
1. 脳卒中治療ガイドラインを見ておけばよかった

    個人的には、日本脳卒中学会が作製した脳卒中ガイドラインはほとんど開いたことはありません。しかしながら、例えば、SAH後の血管攣縮の治療法が5つ列挙されている中で、ガイドライングレードB以上はどれかなど、ガイドラインを読んでないとわからない問題が、かなり出題されていました。新ガイドライン(2009)が発刊されて初めての試験だったからでしょうか?
    これを流して読んでおけば、きっとかなり気軽に試験に臨めていたと思います。

2. 過去問

    脳卒中の巻末の問題は、代表的な試験問題を掲載しているだけのようです。すべての問題はもちろん網羅していないので、その他の広範囲の知識が必要になります。変性疾患ばかり診療していて脳卒中の知識に不安がある場合は、脳卒中治療ガイドラインの熟読をお勧めします。

3. スコアの暗記が必要

    くだらないと思うのですが、NIHSS、mRS、CHADS2、ABCD2、JCS、GCSなどのスコアの暗記が必要で、頻出問題です。

4. 外科的な疾患も勉強する必要がある

    神経内科医としての知識を超えた、SAH、動静脈奇形などの治療法も出題されます。少なくとも、脳卒中治療ガイドラインは読んでおきましょう。

5. 脳卒中の疫学、介護保険、社会福祉について

    出題はされるのですが、これは本気でやろうとすると時間かかるので、捨ててよいと思います。常識的な解答をすれば、半分ぐらいはあたるのでは?後は、よく製薬会社さんが配っているパンフレットには、脳卒中の専門家の偉い先生方の意見などが載っていますが、問題を作っているのはそれらの先生方ですので、そのようなパンフレットを普段パラパラみて得た知識も予想外に役立ちました。

6. 解剖と画像

    anterior choroidal artery、thalamotuberal artery、Heubner artery、posterior choroidal artery 、hypothalamic arteryなど有名な動脈、静脈はどの血管から分岐しているのか、閉塞した場合には病変が”画像上”どこに出現するのかは知っておいて下さい。MRI、SPECT、血管造影など画像を絡めた問題は良く出ます。臨床家であれば自信はあると思いますが、できれば再確認を。大部分の画像は比較的自信をもって読影できますが、血管造影で、血管が花が開いたような、どこかの雑誌の症例報告で見たような写真がでて、治療方針を聞かれてわからなかった覚えがあります。
    PRES, RCVS, CADASIL, CARASIL, アミロイドアンギオパチーの病態、治療などは、内科医として失点は許されないと思いますので自信なければ再確認を。

7. 基礎

    個人的には脳卒中の臨床を行うのであれば、基礎的(basic science)な知識は必須と思ってますが、専門医試験でも良く出題されます。
    血管拡張作用のある、あるいは収縮作用のあるchemical mediator、misery perfusionやluxury perfusionでの酸素摂取率、脳潅流圧、その経時的変化は再確認を(経時変化も出題されました)。自信なければ、以下の論文でも読んでおきましょう。実際に出題された問題ですが、脳虚血の時、蛋白合成、mRNA合成、脳波異常、ATP低下どれが最も早く障害(あるいは虚血後早期に出現)されるでしょうか?答えられますか?

Pathophysiology and Therapy of Experimental Stroke. Cell Mol Neurobiol. 2006 Oct-Nov;26(7-8):1057-83.
もっと新しいreviewもありますが、、、

8. その他、合格率や思い出した問題

    1. 2010年度は260人ぐらい受験者がいました、合格者の人数から合格率を算出すると、合格率は約80%です。合格カットオフラインを80%程度に設定し、合格点数を決めていると予想されます。
    2. 脳梗塞に対するアスピリン投与のNNTは?
    1. 11
    2. 111
    3. 1111
    3. BADはTOAST分類ではどこに分類されますか?

以上のような簡単に選択できる問題よりは、文章をよみその整合性を判断する、要はチェックに時間のかかる問題が多い印象があります。

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