Leber Hereditary Opnic Neuropathy (LHON) 診断

ガイドライン 2017

概念
1871年にTheodor Leberが初めて報告したミトコンドリアDNA変異による視神経疾患で、多くは若い男性に発症する両眼性の遺伝性視神経萎縮です。亜急性に発症し、時にMRIで視神経の信号変化、造影効果を見ることから視神経炎と鑑別が難しい場合もあります。

疫学
イギリスの北東部では25000人に1人以下と希な疾患です。
男性に多いことが特徴です(男:女=9:1)
もちろん、母系遺伝を示します。
発症年齢は10 – 30歳代であることが圧倒的に多いのですが、40歳前後にも小さなピークがあり、この場合は飲酒や喫煙量の多い患者である確率が高いようです。中には50歳以上の高齢で発症したり、発症年齢が不明瞭で緩徐な経過をとることもあります。

症状

    視力低下:急性または慢性の視力低下で多くは矯正視力0.1以下
    視野異常:中心暗点が特徴
    色覚異常
    瞳孔対光反応障害:Marcus Gunn瞳孔などですが、他の視神経疾患と比較して軽度か目立たない場合も多いようです
    両眼性で視神経萎縮となるのですが、多くの場合にはまず片眼、数週間から1年以内(平均8週間後)に対眼の視力低下および中心暗点が生じます。視力低下と中心暗点は急速に悪化して、症状出現から4 – 6週間でnadirをむかえます

検査

    ミトコンドリアDNA検査
    フリッカー値:視力低下にも関わらず中心フリッカー値低下が目立たない場合も多く特徴とされています
    眼底所見:発症時に視神経乳頭は発赤浮腫を呈し、蛍光眼底造影で蛍光色素の漏出はないことが多いようです。この視神経乳頭腫脹は経過とともに消退して、6か月後には視神経萎縮となります
    視神経MRI:急性期に視神経に異常信号がなく、造影効果も伴わないことを根拠に視神経炎との鑑別します。ただし、時に視神経の腫脹や異常信号、淡い造影効果を認める例も報告されています。慢性期には萎縮した視神経が高信号を呈することがあります。

ミトコンドリアDNA異常
ミトコンドリアDNA、NADH脱水素酵素の複合体?のサブユニットをコードする遺伝子の3460番、11778番、14484番塩基の点変異が95%を占め、日本では約90%が11778番変異が検出されます。その他にも10以上の変異が知られています。
電子伝達系酵素複合体の機能は、ATP合成に加えて、ミトコンドリア内膜の内外のイオン勾配を形成し内膜を高エネルギー状態にすることで、ミトコンドリアマトリックスと細胞質間の選択的な物質のやりとりを行います。
Leber病特異的な遺伝子変異によってミトコンドリア内膜の高エネルギー状態が不安定となり、選択的な物質のやりとりに障害を引き起こして網膜神経節細胞の細胞死を誘発するという仮説が提唱されています。

予後
最終的な視機能回復の程度は遺伝子異常によって異なり、11778番変異で最も不良のようです。14484番変異で20歳以前に発症した場合には改善する確率が高いとも言われています。
多くの場合には視機能改善はなく、視覚障害者の登録を行うこととなります。

Leber病と多発性硬化症の関連(Harding病)
Leber病患者のMS有病率は一般人口の有病率の50倍ともいわれています。
Leber病が男性に圧倒的に多いのに対し、Leber病に多発性硬化症を合併したHarding病は女性が66%であり、MSが女性に多いことと類似しています。
Harding病ではミトコンドリア遺伝子異常で11778番変異と14484番変異が3460番変異と比較して多く、女性に限っていれば11778番変異が非常に多いことが特徴です。
Harding病の髄液所見は、OCB陽性、髄液IgG上昇を多くの場合伴います。
画像所見はMSに類似MSすることもあれば、非典型的な大きさ・形の病変で辺縁が不明瞭、T2WIでの高信号が淡くT1WIでは造影しても病変が指摘できない症例もあるようです。

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