概念
脳や脊髄の硬膜が炎症、感染、腫瘍の転移により肥厚する疾患で、下記のような脳圧亢進症状、脳神経症状を来します。臨床的に良く見るのは、腫瘍の転移、ANCA関連疾患、サルコイドーシスあたりでしょうか。
症状
- 頭痛
うっ血乳頭
視神経障害、視野狭窄:頭蓋内圧亢進、圧迫、炎症の波及などによる
脳神経症状
小脳症状
下垂体機能不全
鑑別
画像上、硬膜肥厚を来しうる原因
1. 特発性
2. 頭蓋内圧低下:腰椎穿刺後、外傷性、特発性
3. 感染性:真菌、梅毒、結核、HTVL-I、嚢虫など
4. 自己免疫性疾患:Wegener肉芽腫症、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、関節リウマチ、ベーチェット病、側頭動脈炎など
5. 腫瘍性疾患:転移、悪性リンパ腫(二次性に多い)、髄膜腫
6. IgG4関連疾患:同時に眼窩内炎症が見られることも多いかと思います
検査
- 血液検査:IgG4、赤沈、ANA、ANCA、SS-A、ACEなど
髄液検査:髄膜炎と異なり髄液所見に乏しいのが特徴ですが、感染症や細胞診などなどチェックしてください
感染症の検査:HTLV-I、クォンティフェロン、β-Dグルカン、TPHAなど
脳MRI:必ず造影でAxialとともにCoronalを撮像
頭頸部CT:副鼻腔炎、中耳炎、眼窩内をチェックする
悪性腫瘍の検索:悪性腫瘍の硬膜転移は多いので検索が必要です
RI検査:全身Gaシンチ、脳Tlシンチ、PETなど
硬膜生検:必要になることが多い印象です