ウィルス性辺縁系脳炎(主にHSV) 治療

日本神経感染症学会治療ガイドライン:必ず熟読されてください。
Infectious Diseases Society of Americaの脳炎ガイドライン
ヘルペス脳炎―診療ガイドラインに基づく診断基準と治療指針 (書籍)

代表的なのは単純ヘルペス脳炎 (HSE) です。治療18ヶ月後の死亡率は28%と高いのですが、症状出現後4日以内にアシクロビルを開始した場合の死亡率は8%です。したがって、HSEを疑ったら確定診断が付く前にすぐにアシクロビルによる治療を開始してください。
確定診断がつくあるいは強く疑われる場合には、中途半端に治療を中止せず14日間(欧米では21日間)きちんと治療を行ってください。中途半端に中止すると再発したり慢性化したりすることがあります。再発率はおよそ5%といわれています。アシクロビル治療後に髄液PCRでHSVが陰性化していることの確認も必要になります。
ただし、アシクロビルは副作用の強い薬剤です。単純ヘルペス脳炎の診断が除外されたら速やかに中止してください。また、痙攣発作を併発する可能性が高い疾患です、脳波で異常を捉えたり実際に痙攣を併発した場合、抗痙攣薬の投与が必要です。

処方例
1. 抗ウィルス薬
アシクロビル10mg/kg点滴静注 1日3回、14日間連日 (新生児は20mg/kg)
腎機能が正常の成人に関しては一般的に、1回10mg/kgを点滴静注します。アシクロビルは、1回2V投与することになるとおもいますので200ml以上の溶媒に溶かし、一時間以上かけて投与してください。アシクロビル不応例にはビダラビンを使用します。
ビダラビン15mg/kg静注 1日1回点滴静注、10〜14日間
あまり使用頻度の高い薬剤でなく、溶解方法も注意が必要ですので添付文書をよく読まれてください。
これらの治療終了日も髄液PCRでHSVが陽性であれば、治療を継続するべきとも言われています。

2. アレビアチン静注
痙攣重責発作の治療法は>こちら

3.脳浮腫に対して
グリセオール、マンニトールなど。

4. 炎症に対して
アシクロビルとともにステロイドを使用した場合、予後が良好であるかどうかは証明されていません。しかしながら、脳幹脳炎、脊髄炎、血管炎などの脳実質の炎症がある場合は使用します。また、それらの併発を予防するために使用してもよいかもしれません。

    ステロイドパルス 3日間
    デキサメサゾン 12mg/日(4分割投与) 2-4日間

などが使用され、その後も徐々に減量することもあります。

予後不良因子
30歳以上、意識レベルがGCS<6、治療開始が症状出現後4日以降、入院してから治療開始まで2日以上など

腎機能障害時のアシクロビル投与量
腎障害のある患者又は腎機能の低下している患者、高齢者では、精神神経系の副作用があらわれやすいので、投与間隔を延長するか又は減量するなど注意すること。
(1) クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)が>50の場合
標準1回投与量に対応する百分率 100%、投与間隔8時間
(2) クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)が25〜50の場合
標準1回投与量に対応する百分率 100%、投与間隔 12時間
(3) クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)が10〜25の場合
標準1回投与量に対応する百分率 100%、投与間隔 24時間
(4) クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73m2)が0〜10の場合
標準1回投与量に対応する百分率 50%、投与間隔 24時間

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