アルコールによる神経疾患 診断

エタノールの動態
エタノールは胃で25%、残りは上部小腸で吸収されます。代謝速度は1時間に約8gで、これは1時間当り45度の蒸留酒30ml、ビールでは300mlに相当します。
また、エタノールは一般的な麻酔薬と同様の機序で神経細胞の細胞膜に作用すると考えられています。

A. エチルアルコール中毒(ethanol intoxication)
1.急性中毒(acute intoxication)

  • 病的酩酊(pathological intoxication)
  • 一過性記憶喪失(alcoholic black out)
  • アルコール性昏睡(alcoholic coma)

2.アルコール離脱症候群・禁断症候群(abstinence or withdrawal syndrome)

  • 振戦(alcoholic tremor)
  • 幻覚(alcoholic hallcination)
  • 離脱性痙攣(withdrawal seizures)
  • 振戦せん妄状態(delirium tremors)

3.栄養障害性神経疾患(nutritional diseases of the nervous system)

  • Wernicke-Korsakoff症候群
  • 多発性神経炎(polyneuropathy)
  • ペラグラ(pellagra)
  • アルコール性小脳変性症(cerebellar degeneration)
  • タバコ・アルコール性/欠乏性弱視(tobacco-alcohol amblyopia)

4. 中毒あるいは機序が明らかでないアルコール関連神経疾患(diseased of uncertain pathogenesis associated with alcoholism)

  • アルコール性痴呆症(alcoholic dementia)
  • Marchiafava-Bignami病(脳梁の脱髄によるもの)
  • 浸透圧性髄鞘崩壊(osmotic myelinolysis)
  • アルコール性ミオパチー(alcoholic myopathy)
  • アルコール性ミエロパチー(alcoholic myelopathy)
  • SESA症候群(subacute encephalopathy with seizures in alcoholics)
  • 肝性脳症(hepatic encephalopathy)
  • 胎児性アルコール症候群(fetal alcoholic syndrome)

アルコール性ケトアシドーシスの病態

アルコール性ケトアシドーシスは、アルコール代謝にブドウ糖が不足することで、ケトン、特にβ-hydroxybutyrateが蓄積して、アニオンギャップが増加したケトアシドーシスになります。
つまり、アルコール多飲者は、食事量の低下から肝臓のグリコーゲンが不足しています。アルコール代謝には、NADが必要で、通常は好気性代謝としてKrebs回路が回転しますが、アルコール代謝のためNADHからNADへの変換が抑制されてNADv不足になります。これによって、グリコーゲンの貯蔵が減少しているとケトン産生と脂肪産生が亢進します。この状態ではインスリン分泌が抑制されて、そのカウンターホルモン分泌が刺激され、さらに嫌気性代謝が亢進します。また、NADはβ-hydroxybutyrateをacetoacetatelへ代謝させますが、NADが足りないため上手く代謝できず、β-hydroxybutyrateが蓄積してアシドーシスの原因となります。

アルコールの代謝経路と低血糖

アルコールの代謝には「アルコール脱水素酵素」と「アルデヒド脱水素酵索」が関与しています。アルコールが酢酸に代謝される一連の反応で、還元型NADH+ + H+が産生されます。
NADH/NADが上昇すると、ピルビン酸からの乳酸の生成が促進ます。その結果、ピルビン酸が減少して、ピルビン酸カルボキシラーゼ、 ホスフォエノールピルビン酸カルボキシラーゼを介する糖新生が低下します。
したがって、重症例では肝のグリコーゲンが枯潟するため低血糖が起こります。この 低血糖に対してグルコースを補充するとビタミンB1の急速な消費が起こるので、B1の補充が重要となります。

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