全身硬直症候群(Stiff-Person症候群)診断

概念
1956年にMoershとWoltmanがfluctuating muscular rigidity and spasm (Stiff-Person症候群)として14例を初めて報告しました。
成人に発症する持続性の全身性筋硬直と発作性有痛性筋痙攣を主症状とする疾患です。体幹筋に初発することが多いのですが、数週から数カ月で全身性・持続性となります。
同様の症状は、低Na血症でも来すことがありますので、注意が必要です。

分類
臨床病型により主に以下の3つに分類されます

病態
GABA作働性ニューロンの障害によって、GABA系の神経活動が低下して、α運動ニューロンの興奮性が高まり、多シナプス性の外受容体反射の亢進が生じるためかもしれません。

症状

    有痛性筋痙攣・硬直:初期は体幹・四肢近位筋の発作的な局所性筋攣縮が出現して、数ヶ月で全身に波及します。石板状に緊張した持続性の高度の筋固縮状態になることもあります。音や感覚刺激で誘発され、嚥下障害や構音障害を認めることもあります。睡眠、末梢神経ブロック、神経筋接合部の遮断、全身麻酔で改善することも特徴です。
    アキレス腱・腓腹筋の拘縮
    進行例では腰部前弯
    自律神経症状:発汗過多など

検査

    血液検査:50-70%で抗GAD抗体が陽性となります。抗GABARAP (GABAa receptor associated protein)抗体、抗amphiphysin抗体(乳癌で多い)、抗gephyrin抗体(縦隔腫瘍)が検出されることもあり、それぞれ臨床型が若干異なります(筑波大学で抗体測定可能)。
    Presynaptic protein:GAD、Amphiphysin
    Postsynaptic protein:GABARAP、Gephyrin
    髄液検査:一般的には正常ですが、時に蛋白上昇やOCB陽性
    自己免疫異常検索:I型糖尿病の合併が30-40%に見られます。その他、橋本病、悪性貧血、MG、白斑、網膜症などの自己免疫疾患を合併します。
    表面筋電図:安静時にも持続的な筋活動が認められて、拮抗筋も同時に収縮する(continuous motor unit activity)現象が捉えられます。ジアゼパム投与で消失・減少します
    悪性腫瘍の検索

病因
1. 自己免疫的機序によるもの
抗gultatic acid decarboxylase (GAD) 抗体陽性が検出されるなど、自己抗体の関与が考えられています。
GADはL-グルタミン酸からGABAの生成に働く酵素ですので、抗体が出現するとGADの機能が阻害され、GABA作働性ニューロンが障害されます。
その他、抗ラ島細胞抗体、抗胃壁抗体、抗甲状腺マイクロソーム抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体などの自己抗体を同時に持つ例が多いようです。
2. 悪性腫瘍と関連するもの
約5%で悪性腫瘍の合併が見られます。乳癌(抗amphiphysin抗体)、子宮癌、肺癌、大腸癌、Hodgkinリンパ腫、咽頭癌、胸腺腫などの合併が知られていて、傍腫瘍性神経症候群的なメカニズムにより発症することがあります。

神経病理
脊髄の変性は前索や後索が中心で側索は保たれます。また、脊髄前角内側部の小型から中型神経細胞の萎縮やNissl小体消失、前角細胞の軽度脱落、グリオーシスが見られます。
脳幹・基底核・辺縁系に病変が見られるとの報告がありますが、特にPERMでは血管周囲のリンパ球浸潤やニューロンの消失が報告されています。

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