橋本脳症 診断

概要
橋本甲状腺炎では、強い甲状腺機能低下症状態でも精神症状あるいは昏睡を来たします(粘液水腫性昏睡)が、橋本脳症とは甲状腺機能が正常あるいは補正しているにも関わらず精神神経症状を来たすことが特徴です。抗甲状腺抗体による自己免疫学的な機序が考えられています。
女性、高齢者に多い傾向があります。
橋本脳症と言う疾患概念を提唱したshawらは、1. 精神神経症状(脳症)の存在、2. 抗甲状腺抗体の存在、3. ステロイドによる良好な反応の3点を強調しています。[ref]

症状
最も頻度の高い症状は意識障害ですが、何らかの精神症状もよく認められます。また、認知機能障害をきたしますので、認知症性疾患との鑑別が重要です。

  • 意識障害、意識の変容:80%以上の症例で見られます
  • 精神症状 (62%):幻覚、興奮状態、感情不安、うつ症状など
  • 認知機能障害、失見当識 (46%)
  • 全身痙攣 (43%)
  • 不随意運動 (32%):ミオクローヌス、振戦、オプソクローヌスなど
  • その他:失語、失行、錐体路症状、小脳症状 (16%)、感覚障害など

検査

  • 抗α-Enolase(NAE)抗体上昇(髄液・血清):福井大学医学部神経内科に測定依頼
  • 髄液:70%で蛋白上昇、OCB時々陽性。まれに細胞数の軽度の上昇、髄液でも抗マイクロゾーム抗体 (TPO抗体)、抗体サイログロブリン抗体 (TG抗体)が上昇することがあります
  • 脳波:全般性徐波、まれに三相波やてんかん性脳波
  • SPECT:全体的な低潅流
  • 脳MRI:65%は異常所見なし。まれに、萎縮や白質変性、辺縁系脳炎様の所見など
  • 甲状腺検査:抗マイクロゾーム抗体 (TPO抗体)、抗体サイログロブリン抗体 (TG抗体)高値。甲状腺機能は正常、低下、亢進様々

鑑別診断

病型は、急性脳症型(意識障害・精神症状・痙攣):68%、精神病型(幻覚・せん妄・認知症):22%、小脳失調型:5%、CJD様の臨床像:5%に分類されますので、鑑別診断は以下の様な疾患になります

  • 傍腫瘍性辺縁系脳炎
  • 中毒性・代謝性脳症
  • 粘液水腫性昏睡
  • レビー小体病
  • NMDA受容体抗体、VGKC抗体などによる自己免疫性脳炎
  • Creutzfeldt-Jakob病

病理所見
脳実質内動静脈、毛細管周囲や、髄膜の血管周囲特に静脈を中心にリンパ球,マクロファージなどの著明な細胞浸潤が認められた例が報告されていて、Vasculitis(血管炎)が本症を引き起こす病態であると推察されています。
また2次性のびまん性グリオーシスも大脳,視床,基底核などに認められているようです。

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