MGクリーゼは症状が呼吸筋に及び、呼吸不全をおこし生命を脅かすもので、一般的には比較的コントロールの困難な呼吸筋、球筋の脱力が基礎疾患にあり、感染などを契機としてクリーゼの状態に至ることが多いようです
高率に人工呼吸器を要する状態になりますが、クリーゼでは四肢の筋力低下が目立たない例もよくあります
基本的には、下記のように筋無力症性クリーゼと、コリン作動性クリーゼに分けられテンシロンテストの効果の有無を確認しますが、それらの病態が混合していることも多く、臨床症状も類似しているため鑑別は容易ではありません。
クリーゼの種類
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1.筋無力症性クリーゼ
呼吸不全、チアノーゼ、散瞳
構音障害、嚥下障害
唾液・喀痰排出困難
全身骨格筋の脱力 など
2.コリン作動性クリーゼ
ムスカリン様作用
不安、不隠、顔面蒼白
羞明感、縮瞳
発汗、流涎、流涙、気道内分泌増加
徐脈、悪心、嘔吐、下痢、腹痛
尿意頻回
ニコチン様作用
呼吸不全
筋線維束性攣縮
筋Cramp
クリーゼの誘引
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感染
手術
誤嚥
薬剤
ステロイドの初期増悪や原料、抗コリンエステラーゼ剤の増量
抗生剤(アミノグリコシドなど)
抗不整脈剤(キニジン、プロカインアミド)
降圧剤(βブロッカー、Ca拮抗剤)
マグネシウム製剤
発熱
妊娠、生理
治療
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1.呼吸の管理
テンシロンテストの効果アリ
ネオスチグミンの筋注
ネオスチグミンの持続点滴静注
テンシロンテストの効果がはっきりしない
機械的人工呼吸やBiPAP
抗ChEの中止
2.ムスカリン症状への対策
気道分泌物の吸引
硫酸アトロピンの投与
抗ChEの中止や減量
3.誘引・増悪因子の防止と除去
感染症の治療(セフェム系やペニシリン、ABPCは駄目)
経鼻チューブ
カリウムの欠乏とマグネシウム過剰の防止
4.早期のMG症状の改善
血漿交換あるいはIVIg