はじめに
単一遺伝子異常により生じる遺伝性脳小血管病の一つです。
一本鎖DNA分解酵素であるTREX1の断片型蛋白を発現する変異による,常染色体優性遺伝性疾患で、病理学的には)脳,皮膚,腎糸球体,消化管などの毛細血管の基底膜の多層化した所見が得られている疾患です。つまりCOL4A1関連疾患と同様に基底膜が損傷される疾患のようです。以前より報告のある以下の疾患がTREX1関連疾患であることが判明しました。
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HERNS: hereditary endotheliopathy with retinopathy, nephropathy and stroke
CRV: Cerebroretinal vasculopathy
HVR: hereditary vascular retinopathy
臨床型
- 白質脳症やラクナ梗塞:時に造影効果や浮腫、さらには腫瘍性の病変を示すこともあるのが特徴です。TREX1はSLEとの関連もあり、炎症との関連が示唆されているのでしょうか?
網膜症:Retinal vasculopathyやRetinal arterial tortuosities
腎症
片頭痛
Raynaud現象
RCVLの脳MRI:基本は虚血性白質脳症(左)ですが、時に造影効果を認めることがあります(真中)。また、さらに腫瘍性病変を来たすこともあります(右)
蛍光網膜動脈造影では、造影剤の漏出が認められます
Neurology. 1997;491322-30.、Neurology. 2010;75:1211-3.より画像引用