アルツハイマー型認知症 診断

概要
認知症の原因で最も多い原因疾患で、高齢化とともに症例数はかなり増加しています。日本でも200万人を超えており、徐々に進行します。
一般に、若年発症ほど進行が早く、中核症状である記憶障害以外に、数年経過すると失語、失行、失認などの高次機能障害が加わり、さらに認知症に伴った行動心理学的症候(Behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)も出現してきます。
発症から約半数が寝たきりとなるまで、5±3年、死亡までの平均罹病期間は8-10年といわれています。

病因
この疾患ではAβ42、Aβ40からなる老人斑アミロイドとリン酸化タウからなる神経原線維変化が脳に大量に蓄積しますが、特にシナプスや神経細胞を障害する直接の原因分子は6-12個のAβからなる小さな凝集体(Aβ oligomer)であるといわれています。
下記に診断基準を示しますが、他の神経学的局所症状のない近時記憶障害でおおよそわかります。また、脳MRIよりも脳血流シンチ(SPECT)の方が初期から異常を検出でき、後部帯状回、喫前部、頭頂葉、側頭葉の順番で血流が低下していきます。



ADとatypical ADの脳MRI[ref]:ADでは上図aの矢印のように側頭葉内側が萎縮して側脳室後角が拡大するのが典型的な所見です。一方で、非典型的ADとして、上図に報告されている部位の萎縮が目立つことがあり、FTDや時にはCBSとの鑑別が難しい例もあります。特にそのような場合では、他疾患との鑑別のために髄液Aβ測定やアミロイドPETによってアミロイド病理の存在を確認する必要があります。

改訂NINCDS-ADRDA criteria
主要診断基準

A. 早期の有意なエピソード記憶障害の存在

    1.自覚・他覚的な6ヶ月以上の緩徐進行性の記憶障害
    2.客観的検査による有意なエピソード記憶障害
    3.エピソード障害のみ、進行に伴った他の領域の認知障害

支持する所見

B.内側側頭葉萎縮(海馬、嗅内皮質、扁桃体のMRI所見)
C.髄液Aβ42低下、Tauかp-tau増加
D.PET(後部帯状回、喫前部、側頭頭頂葉のFDG低下、PiB陽性)
E.遺伝子変異の存在
除外基準
病歴(急性発症、早期の歩行障害、痙攣、行動異常)
臨床症状(局所神経症状、早期の錐体外路症状)
他の記憶障害を呈する疾患の除外
Probable AD:AとB-Eのうち1つ
Definite AD
臨床症状と生検か病理所見が明らか
臨床症状と遺伝子変異が明らか

BPSDの主な症状(12症状)
BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは、国際老年精神医学会によって提唱された認知症にみられる行動およびに心理学的症状を意味する概念で、従来の周辺症状に対応します。BPSDは大きく、行動症状と心理症状に分類されます。行動症状としては、攻撃性(暴行、暴言)、叫声、拒絶、活動障害(徘徊、常同行動、無目的な行動、不適切な行動)、食行動の異常(異食、過食、拒食)などがあり、心理症状としては、妄想(物盗られ妄想、被害妄想、嫉妬妄想など)、幻覚(幻視、幻聴など)、誤認(ここは自分の家でない、配偶者が偽者であるなど)、感情面の障害(抑うつ、不安、焦燥、興奮、アパシーなど)、睡眠覚醒障害(不眠、レム睡眠行動異常)などがあります。

妄想 Delusions
幻覚 Hallucinations
興奮・攻撃性 Agitation/Aggression
うつ Depression/Dysphoria
不安 Anxiety
病的昂揚感・多幸 Elation/Euphoria
アパシー・無関心 Apathy/Indifference
脱抑制 Disinhibition
易刺激性 Irritability/Lability
異常な運動行動 Aberrant Motor Behavior
睡眠と夜間の行動異常 Sleep and Nighttime Behavior Disorders
食欲と食行動の異常 Appetite and Eating Disorders

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