皮膚筋炎/多発筋炎 診断

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

概念
自己免疫性の機序による骨格筋、皮膚を中心とした炎症性疾患です。最近では、様々な自己抗体が検出されてきています。他の自己免疫疾患を合併することももちろんありますし、悪性腫瘍を合併することもよくあります。
皮膚筋炎は、虚血によるperifascicular atrophy
多発筋炎は、炎症による筋障害
と、病態は異なると考えるのが一般的です

症状
全身症状:発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振、体重減少など
筋症状:四肢近位筋/頸筋などの筋力低下、構音障害、嚥下障害、呼吸筋障害
皮膚症状:ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候、レイノー現象
肺病変:間質性肺炎
心病変:心筋炎、心膜炎、不整脈、心不全

検査

    血液検査:CK, CKアイソザイム、アルドラーゼ、自己抗体
    尿検査:ミオグロビン
    針筋電図
    筋MRI:T1, T2, STIR, (Gd)、特に生検部位はMRI orientedでなくてはなりません
    生検:皮膚、筋など
    悪性腫瘍の検索

ARS抗体について
アミノアシルtRNA合成酵素〈aminoacyltRNA synthetase:ARS〉はtRNAにアミノ酸を結合させる細胞内酵素の総称で、各アミノ酸に対応して20種類が存在します。抗ARS抗体として最初に報告されたのは、ヒスチジンに対するヒスチジルtRNA合成酵素に対する抗体である抗Jo-1抗体です。その他、抗PL-7抗体、抗PL-12抗体、抗EJ抗体、抗OJ抗体、抗KS抗体などこれまでに8種類のARSに対する自己抗体が報告されています。
 多発性筋炎・皮膚筋炎では抗ARS抗体が25~40%と高率に検出されますので、筋炎の特異的自己抗体の1つと考えられています。一方、抗ARS抗体陽性症例には筋炎(78~91%)、間質性肺炎(90%)、多関節炎(64~83%)、Raynaud現象(62%)、発熱(20%)、機械工の手(手指腹側の角質化を伴う皮疹:17~71%) を高頻度に認めることから、均質な症候群を構成しているため、抗合成酵素抗体症候群anti-synthetase syndrome(抗ARS抗体症候群)と呼ばれています。この中でも間質性肺炎は、筋炎に先行する場合が30~50%あることから、原因不明の間質性肺炎であってもARS抗体症候群の症状の有無に注意を払う必要が有ります。
『MESACUPTM anti-ARSテスト』はELISAにより抗ARS抗体5種(抗Jo-1抗体,抗PL-7抗体,抗PL-12抗体,抗EJ抗体,抗KS抗体)を一括して測定可能(個別の抗体のどれが陽性かはわかりませんが)で、2014年より保険収載されています。

自己抗体と悪性腫瘍
有名なJo-1抗体は筋炎の20-30%と陽性率は高くありません。抗155/140kDa抗体(抗TIF1-γ抗体)は、筋炎の約20%で陽性で悪性腫瘍合併皮膚筋炎の診断マーカーとして使用されるようです。

病型 自己抗体 悪性腫瘍
皮膚筋炎(DM)
多発筋炎(PM)
抗Jo-1抗体
抗155/140kDa抗体
(抗TIF1-γ抗体)
抗34kDa抗体
抗PM/Scl抗体
固形癌
固形癌
卵巣癌,肺癌,胃癌,肺癌,大腸癌など
大腸癌
未分化副腎皮質癌(再発性)
急性壊死性ミオパチー SRP抗体、HMGCR抗体 肺大細胞癌,胃癌,乳癌,大腸癌など

病理
基本的には筋周膜や間質血管周囲のリンパ球浸潤及び、壊死/再生像を特徴とします。そのため、CD3、CD4、CD8、CD20,CD68などの免疫染色により炎症細胞を免疫組織学的に確認する必要があります。
また、皮膚筋炎の場合は筋間質周辺の筋線維がしばしばグループをなして変性・萎縮をきたす(perifascicular atrophy)が見られ、炎症細胞の主体がCD4陽性T細胞であることが特徴と言われています。
一方で、多発性筋炎では組織学的には非壊死筋線維へのCD8陽性細胞の浸潤が目立ちます。
細胞浸潤が筋束周囲の血管にとどまるとCKが正常にとどまることもあると言われています。
pmdm

筋生検標本(左がDM、右がPM)

筋炎の特殊病型
炎症性筋疾患は、筋や皮膚以外にも悪性腫瘍や間質性肺炎の二大合併症が存在し、病型に関しても、慢性型、遠位型、壊死性筋炎、封入体筋炎、さらには筋症状を欠くamyopathic DMなどが含まれるなど様々な病態が混在しています。。近年、抗ARS抗体、抗SRP抗体など、他の膠原病に追随する形で新たな自己抗体と臨床像の特徴も明らかになってきています。

    1. 抗ミトコンドリア抗体関連炎症性筋疾患[ref]
    炎症性筋疾患のなかで原発性胆汁性肝硬変で検出される抗体ミトコンドリア抗体(AMA)が陽性となる病型で、AMA indexが高いほど経過が長く、心合併症(不整脈や心筋炎など)や筋萎縮を有意に伴うという特徴があるようです。病理学的には、CD4>CD8のリンパ球浸潤(皮膚筋炎タイプ)や肉芽腫性変化を認めることもあります。
    2. SRP抗体陽性ミオパチー
    シグナル認識粒子(signal recognition particle: SRP)に対する自己抗体が検出される炎症性筋疾患です。臨床的には筋症状が主体で、皮膚/肺をはじめとした全身病変や悪性腫瘍や他の膠原病との合併は少ないという特徴 はありますが、筋症状は重篤で、ステロイド抵抗性の筋炎として広く知られています。
    病理学的には、著明な壊死・再生像が特徴で、リンパ球の細胞浸潤が乏しい壊死性ミオパチー(necrotizing myopathy)が特徴的とされています。リンパ球浸潤が乏しいということもありますので、筋炎とは異なる疾患概念とするべきとの意見も一応あります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください