概念
レボドパが著効するパーキンソン症状ですので、PDの一部と考えられますが、多くは20歳代に発症して、血縁結婚の認められる劣性遺伝形式をとることの多いことから、PARKなどの遺伝子変異の関与が疑われます。
特徴
以下のような臨床的特徴が有名です。ジストニアの合併が高いことが特徴とともに、瀬川病との鑑別が問題となります
-
- 多くの症例は血縁結婚の認められる劣性遺伝形式をとる
- AR-JPの半数はParkin遺伝子(PARK2(parkin), PARK6(PINK1), PARK7など)、その他遺伝性が明らかでなく病因不明な群もある。SPGの論文も増えている印象もある
- 歩行障害やdrawingの障害が最初のサインのことが多い
- 上肢より下肢優位にジストニア姿勢を認める
- 無動が少なく、認知機能障害が少ない
- 振戦は目立たず、安静時というよりは姿勢時に多い
- 自律神経症状としては発汗充進が認められることもあるが希である
- 筋緊張が強く、固縮のみならず痙縮を認めることもある
- 起床直後は症状が緩和されるsleep benefitが見られる
- レボドパが著効する
- 発症年齢は20歳代が多いけれども、40歳を少し超える発症者も存在する
- 薬物治療の開始早期よりジスキネジアやwearing offを起こしやすい
検査
MIBG心筋シンチ:例えば、PARK2(常染色体劣性遺伝)関連JPでは、Lewy病理は見られないためMIBG心筋シンチグラフィーでの取り込み低下を認めないようです。
皮膚生検:α-synuclein depositsはパーキンソン病との鑑別に有効との報告があります
DAT scan:取り込みは孤発性PDと類似あるいはより強い低下の報告がありますその他は、パーキンソン病と同様に疾患特異的な検査異常はありません。
病理
PDと異なり、Lewy小体なしと言われていましたが、少数例で陽性の報告もあります
鑑別診断
レボドパ特異的著効性については、同じくレボドパが著効を示す小児発症のジストニアとの関連が重要です。そのため、プテリジン代謝異常の有無、GCH-I遺伝子変異の有無の検索が必要になることもあります。また、遺伝性疾患でパーキンソン症状を壮年期以降に来す疾患も鑑別になります
瀬川病
瀬川病以外のプテリジン代謝異常(劣性遺伝性GCH-I欠乏症)
劣性遺伝性TH欠乏症
Wilson病 無動固縮型:銅とセルロプラスミン
フェニルケトン尿症
SCA2、3、17:SCA3に伴うパーキンソン症状はL-dopaの反応性が見られた報告があります
有棘赤血球
Hallervorden-Spatz病
BPAN
Neuroferritinopathy
NBIA
Perry症候群
Gaucher病(3b, c型)