頸椎症性筋萎縮症(CSA) 診断

概念
病態としては頸椎症頸髄症(CSM)と同様ですが、神経内科医にとってはALS(特にFlail arm syndrome)との鑑別が必要かつ一筋縄では行かないため頭を悩ませることがしばしばあります。頸椎症により引き起こされる病態の中でもまれなタイプですが、大昔から知られています。

病態
脊髄前根もしくは前角が選択的に障害される病態と考えられていますが、その機序については未だ不明です。歴史としては、、、
1974年にKeeganが、剖検例をdissociated motor lossとして報告して、椎間板後側方部の骨棘が前根を硬膜内で圧迫することによると推定しました。
1976年に柳田が、脊髄前角は脊髄中心動脈の末梢に分布していることから脊髄前角の血流障害によると推定しました。
1980年に伊藤は、preforaminal partで前根を障害するものと、さらにparamedial partで脊髄前角を障害するものがあると推定しました。
などなど


とにかく、前根や前角障害が筋萎縮の原因になり得る訳ですから、前方からの圧迫や障害が引き起こされているものと考えられます。特に、C5前根糸は解剖学的に短く、圧迫・牽引に対して余裕がないため容易に障害をうける可能性があるようです(C5の場合は近位型)。

症状

    上肢の著明な筋萎縮と筋力低下:障害される筋の分布によって近位型と遠位型の2タイプに分類されます。片側性が多いのですが、両側性も報告されています。
    下肢症状は目立たない(陰性所見)
    脊髄症や知覚障害を認めない(陰性所見)

検査
とにかく、筋萎縮部位が頸椎の病変で説明が可能か、あるいは頸椎の病変では説明が不可能な筋萎縮が存在するか、ALSとの鑑別の場合には脳神経症状など頸椎病変で説明が不可能な症状が存在するかを正確に判定する必要があります。病変の広がりに関しては、針筋電図による脱神経所見の検索が、筋力低下の分布よりも役立つと考えられます(無症候性の変化をもとらえられるため)。

    血液検査:筋萎縮を来す疾患の鑑別
    頸椎MRI
    ミエログラフィー
    電気生理学検査:nEMG、NCV、MEPなど

症状との対比に必要な図(脊椎脊髄ジャーナル 2002 vol15より抜粋)
紛らわしいのですが、脊髄前角の障害部位はその前方に位置する椎体の位置よりも一髄節下になります(下図)。従って、例えばC4/5に強い前方からの突出がある場合に、神経根が障害される場合はC5が障害されますが、前角のレベルですとC5が障害されます。画像と、障害部位、障害筋、腱反射の変化から、頸椎病変によってすべての症状が説明しうるのかを評価しなければなりません。上肢筋の髄節に関しても報告により少しvariantがあります。また、神経根の走行に関しても1髄節程度ずれることも稀にあります。

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