線維束性収縮 (fasciculation) 診断

はじめに
線維束性収縮(fasciculation)は筋腹に肉眼的にみられる筋の小さな攣縮ですが、不随意運動に分類されることは適切ではないかと思われます。基本的には、筋線維群もしくは一つの運動単位の無規則な自発収縮です。筋腹の一部がピクッと動く素早い収縮として、正常な状態でも出現しますので自覚されたことのある方も多いかと思います。
線維束性収縮(fasciculation)の観察に重要なことは、contraction fasciculationとの区別のため随意収縮の残らない真の安静をとった上で観察することです。また皮膚表面を軽くたたいて誘発することもよく行われます。

病態
主には脊髄前核細胞(下位運動ニューロンの細胞体)の障害によって起こり得ると考えられてきましたが、最近の検討では軸索や接合部(シナプス前終末)の異常あるいは上位運動ニューロンの興奮性の増大などの病態の報告も増えています。

原因
健常人(benign fasciculation)でも見られますが、以下のような病態が有名です。特に、ALSでは特に下位運動ニューロン障害が目立つ例ではかなりの頻度で出現します。その他の疾患では、頻度は稀です。

検査

    針筋電図:肉眼的に確認されない筋でも検出可能です
    筋超音波検査

Contraction fasciculation
巨大化した運動単位の正常随意活動で、随意収縮時に体表から粗大なランダムな筋束の収縮として見られます。基本的には、慢性の神経原性病変によって下位運動ニューロン数が高度に減少して、残存する個々の運動単位に属する神経線維の本数が神経再支配によって著明に増大することによって生じます。マニアックな方は、安静時に出現するfasciculationと区別します。

コメント

  1. アルコ より:

    はじめまして。
    とても参考になります。

    >線維束性収縮(fasciculation)は筋腹に肉眼的にみられる筋の小さな攣縮ですが、不随意運動に分類されることは適切ではないかと思われます。

    についてですが、どちらの意味にもとれるので確認させてください。

    繊維束性収縮(fasciculation)を不随意運動に分類することは、医学の定説や世界の標準として適切なのでしょうか?それとも不適切なのでしょうか?

    Movement Disordersの医学書では、fasciculationやmyokymiaが含まれているものと、そうでないものがあるようです。

    一方、Psychogenic Movement Disorders(心因性運動障害)の医学書や文献には、私の知る限り、fasciculationやmyokymiaが含まれているものはないようです。

    そう考えると、fasciculationやmyokymiaは、振戦やミオクローヌス、ジストニア、チックなどの不随意運動とは別に分類した方が良いようにも思いますが、定説やコンセンサスのようなものはありますでしょうか?

    宜しくお願いいたします。

  2. Bill and Ben より:

    コメントいただき、ありがとうございます。
    個人的には、関節運動を伴わない、(多くの場合単一の)筋の収縮ですので不随意運動という言葉はしっくりこないと思います。が、いくつかの有名な教科書では手が振るえるなどの症状が出現することもあることなどを理由に、不随意運動の欄に含んでいるものもありますね。
    ご指摘通り、「controversialな問題」という理解で良いと思われます。

  3. アルコ より:

    ご回答有難うございました。

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