癌性髄膜炎 (meningeal carcinomatosis) 診断

はじめに
悪性腫瘍の髄膜播種(meningeal dissemination)を原因とします。比較的亜急性に進行する多発脳神経麻痺の鑑別のtop3に入る比較的頻度の高い疾患です。原病の悪性腫瘍の種類により、血行性、直接浸潤、経神経あるいは経血管性など様々な経路を取って髄膜に播種します。

疫学
腺癌が最も頻度が高い(乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、悪性黒色腫)
白血病および悪性リンパ腫が原因となるのは5-15%、原発性脳腫瘍では1-2%程度です
原発巣が不明な髄膜播種も1-7%にあります

症状
大脳半球の症状(15%):意識変動、嘔吐、痙攣、感覚障害、歩行障害
脳神経障害(35%):複視、難聴、視力低下、顔面感覚低下、嚥下障害
脊髄および神経根(60%):感覚障害、背部痛、上位・下位運動ニューロン障害

検査
髄液検査
:細胞上昇、蛋白の著名な増加、糖の低下、細胞診は確定診断に重要で、2-3回提出、腫瘍マーカー提出、β2-MG著増、血液系腫瘍の場合(Flow cytometry, DNA single-cell cytometryなど)
血液検査:腫瘍マーカー、原発巣の検索
脳MRI:FLAIRやT1Gd造影で髄膜の高信号
脊髄MRI:馬尾のT1Gd造影所見など
Gaシンチ、PET

Chin Clin Oncol. 2018 Jun;7(3):30.より抜粋。小脳のfoliaと馬尾の造影効果は、大脳半球の軟膜よりも陽性となることが多い印象があります。
Appendix. 軟膜への転移に関する病態仮説

硬膜転移 (dura metastases)について

軟膜への転移ではなく、その外側の硬膜転移のみがみられることがあり、pachymengeal carcinomatosisなどと呼ばれています。多くは骨転移からの浸潤で、一部は血行性転移が疑われています。画像では軟膜の造影効果がない代わりに、硬膜の造影効果が見られ、また髄液細胞診で癌細胞が検出されずらいという特徴があります。
原発巣は、前立腺19.5%>乳癌 16.5%>肺癌 11%>消化器癌 7.5%と報告されています。
軟膜転移と異なって、投与された薬剤はBBBを介さずに転移巣に到達するため、髄注化学療法は必要なく、全身化学療法が効果があるとする報告もあります。

乳癌による癌性硬膜炎(pachymengeal carcinomatosis)の方です。大脳半球の硬膜がほぼ全周性に、また、この方は頭蓋底が特に厚く造影効果を認めます

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