Isolated (Nonsystemic) vasculitic neuropathy 診断

Systemicな炎症所見を伴わずに、末梢神経のみの血管炎を来たす疾患です(全身の炎症所見を伴う血管炎性末梢神経障害は>こちら)。
多くは亜急性から慢性あるいは階段状に進行して、

    多発単神経炎
    非対称性の多発神経炎
    遠位優位の対称性の多発神経炎

のいずれかの型を示します。
同様の臨床病型を示す全身性の血管炎症候群の存在が否定され、血管炎が末梢神経に限局しているのかどうかがポイントです。

臨床経過の特徴

    発症平均年齢 59.5歳
    やや女性に多い(5:4)
    約30%に体重減少、15%に発熱を認める
    ほとんどの症例で運動感覚障害型であるが、15%程度は純粋感覚型。純粋運動型はない
    神経症候は上肢よりも下肢に強く、また遠位優位。しかし近位に症状を認めることもある
    感覚障害はall modalityで、時に大径線維優位のこともある。80%程度の症例で有痛性。
    下肢では総腓骨神経が、上肢では尺骨神経がもっとも障害されやすい。
    ADLは半数が歩行自立、しかし35%は歩行に支持や装具を要し、15%は歩行不能

検査所見

    血液検査:約半数で軽度のESR亢進(>20mm/hr)、ANA陽性、貧血が25%程度、白血球増多15%、RF陽性10%、C3,C4低下5%程度
    髄液所見:CSFの軽度細胞数上昇は5%、CSF蛋白上昇 は30%。OCBを認める例もある。
    末梢神経伝導速度検査:基本的には運動感覚型の軸索障害の所見ですが、伝導速度、遠位潜時の軽度の延長が見られることがあり、13%で軸索障害/脱髄混合型の所見を示します
    腓腹神経、短腓骨筋生検:これで血管炎の所見を証明することが重要です

診断基準(Clin Exp Rheumatol 26(Supple 49) S118-S130; 2008)

    1. Clinical anda electrodiagnostic evidence of an axonal neuropathy
    2. Nerve or muscle biopsy diagnostic or suspicious for vasculitis
    3. No clinical, laboratory, or pathologic evidence of tissue involvement beyond nerve or muscles
    4. No identified etiology
    5. No systemic disease potentially predisposing to vasculitis (e.g. connective tissue disease, diabetes mellitus, malignancy, mixed cryoglobulinemia, and sarcoidosis)

病理

    Definite vasculitis:少なくとも一つ以上の血管に炎症細胞浸潤と、血管障害の所見を認める(フィブリノイド壊死、血管内皮障害、内弾性板の断片化、出血、急性期の血栓)
    probable vasculitis:血管内腔あるいは血管周囲の炎症細胞浸潤があり、必ずしも血管の破壊を伴わないが、血管壁の肥厚や、内腔閉塞、血栓の再開通、神経周囲の血管新生、ヘモジデリン沈着、非対称性の神経線維脱落、進行性のワーラー様変性、局所性の神経周囲の炎症や肥厚、筋繊維の壊死再生などの支持所見を伴う
    Possible vasculitis:明らかな炎症を伴わないが、軸索変性と支持所見(筋繊維の壊死再生、非対称性の神経線維脱落、進行性のワーラー様変性、血管へのimmune depositsの沈着)

なお炎症細胞浸潤はT細胞およびマクロファージ主体で、B細胞はまれのようです。また血管炎は主にepineuriumの20-300μm程度の細動脈に見られ、perineuriumやendoneuriumの血管炎(< 40μm)は稀です。
主な生検材料としては腓腹神経、浅腓骨神経(および短腓骨筋)が用いられ、診断のsensitivityはおおむね50%です
さらに、最近では皮膚もsubclinicalに所見が見られることがあるといわれており、皮膚所見がなくとも、皮膚の血管周囲へのT細胞、マクロファージの集簇像、leukocytoclastic vasculitisの所見が見られた例があります。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください