はじめに
GADはグルタミン酸からGABAを産生する際に働く酵素で、抗GAD抗体がGABA産生を抑制、もしくは神経終末からのGABA分泌を阻害することで神経症状を呈すると推測されています。従って、GABA機能の抑制からてんかんを生じても理論的にはreasonableと考えられます。また、GAD抗体は辺縁系脳炎の原因ともなることから、二次的に痙攣を起こすこともあり得ると思われます。
抗GAD抗体関連てんかんに関しては、一般的に辺縁系脳炎がなく単純に難治性のてんかんを来している病態を指すことが多いと思われます。
症状
基本的には本疾患のてんかんは単純な抗痙攣薬の効果が乏しく難治性であることが多い印象があります。
報告例では、複雑部分発作(及び二次性全般化)が多いようです。
側頭葉てんかんを示すこともよくあります。
多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmune syndrome, PGA)を合併している報告も散在されます。
GAD関連疾患のその他の症状の合併の有無のチェックは行いましょう。
検査
- 血液検査:GAD抗体、内分泌系の検査、難治性てんかんなので一応VitB6の値もチェック
髄液検査:GAD抗体
脳MRI
脳波
治療
1. 抗痙攣薬
理論的にはGABAを賦活することが利にかなっていると思われますが、難治性の場合も多く多剤併用をすることが多くあります。
2. 免疫療法
なかなか抗痙攣薬だけではコントロールが難しい場合も多く、免疫療法が行われる例が散見されます。
急性期治療
- ステロイドパルス
免疫グロブリン大量静注療法
単純血漿交換
エンドキサンパルス
維持療法
- ステロイド
エンドキサン
アザチオプリン
など
抗体産生を抑えるわけですので、理論的にはリツキサンも候補に上がると考えられます。