MELAS (Mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke like episodes) 診断

ガイドライン 2017

はじめに
ミトコンドリア脳筋症では、最も頻度の高い病型です。様々な臓器症状が出現し得るのですが、痙攣、頭痛、嘔吐、筋力低下などで70%が15歳以下で発症します。症状の軽い場合は、難聴、糖尿病あたりで主治医が気づくことも多いかと思います。

遺伝形式
母系遺伝で、以下の変異が有名です
MT-TL(tRNA Leucin1):3243A>G
MT-ND(NADH-ubiquinone)5:3513A>G

症状
症状は多彩で、症例により目立つ症状が異なります

    低身長
    中枢神経系:Stroke like episodes、痙攣発作、頭痛、脳症
    末梢神経障害
    ミオパチー
    感音性難聴
    眼症状:視神経萎縮、外眼筋麻痺など
    心臓:心筋症、伝導ブロック
    腎機能障害
    腸管:嘔吐、便秘など
    内分泌:糖尿病

検査

    血液検査:乳酸/ピルビン酸比上昇、DMの有無、CK上昇などなど
    髄液検査:乳酸/ピルビン酸比上昇、時に蛋白上昇
    運動負荷試験
    遺伝子検査

その他、症状により脳MRI、神経あるいは筋生検、心筋生検査、耳鼻科受診、心エコーなど検索範囲が変わってきます

Stroke like episodesについて
神経内科では、痙攣発作やStroke like episodesで関わることが多いと思います。中でも、Stroke like episodesは正確な病態が不明ですが、以下のような特徴から脳梗塞と鑑別を行います。

    1. 突然発症の頭痛、視野障害、痙攣発作がよく見られる。特に脳梗塞で稀な痙攣発作は鑑別に有用である。
    2. 多くの場合後頭葉病変である
    3. 動脈支配領域と一致しないことが多い
    4. 数週間の経過で緩徐に周辺に病変が拡大することがある
    5. 急性期病変は、ADC低下、DWI上昇(細胞傷害性浮腫)することも多く脳梗塞と画像的な区別は難しい。あるいは皮質はADC低下し白質はADCの低下が目立たないという特徴が見られることもある。急性期を過ぎるとADCは正常化から上昇(血管性浮腫)する。
    6. MRAでは病巣支配動脈が拡張することもある
    7. 病変部の脳血流(CBF)は急性期は増加することが多く、脳梗塞との鑑別に有用である
    8. MRSでは急性期病変はNAA低下、Lac上昇
    9. 亜急性期には層状皮質壊死に陥りやすい
    10. 痙攣発作を引き起こしやすいが、発作がなくても焦点性周期性てんかん型放電(Focal periodic epileptiform discharges:FPEDs)を高率に認める

病態としては、以下のものが疑われています

    1. Mitochondrial cytopathy:呼吸鎖障害よる酸化ストレス増加など
    2. Mitochondrial angiopathy :NO homeostasisの障害による血管自己調節能障害など
    3. Neuronal hyperexcitability:神経細胞膜電位の不安定性による興奮性亢進の持続など
    4. inflammation

など

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