GeneReviews Japan:肢帯型筋ジストロフィー概説(とても詳しく説明されています)
はじめに
近位筋優位のdystrophyで、慢性筋炎やIBMとの鑑別が問題となります。大きく分けて、以下の4種類の蛋白質の異常が原因となります。
- 構造タンパク質
タンパク質分解酵素
糖鎖修飾酵素
イオンチャネル
臨床的には、遺伝形式に合わせて、以下の1型と2型に分類されます。
- LGMD1:常染色体優性遺伝、発症年齢が遅く、進行やCK上昇が緩やか
LGMD2:常染色体劣性遺伝、発症年齢が早く、進行が早い、CK上昇も強い
さらに、原因遺伝子別にA, B, Cなどとさらに分類されます。
頻度の多い順にLGMD2A(Calpain欠損:30%)、LGMD2B(Dysferlin欠損:20%)、LGMD2C-F(Sarcoglycanopathy:7%)です。
代表的なLGMDを以下にリストしますが、それ以外の病型も沢山知られています。近位筋の筋力低下に加えて、出現しうる特徴的な症状を簡潔に記載します。
LGMD1
- LGMD1A(myotilinopathy):構音障害(開鼻声)、嚥下障害が特徴的
LGMD1B(LMNA異常):心疾患、関節拘縮が特徴的。突然死の原因にもなります
LGMD1C(Caveolin異常):無症候症例もあります。遠位優位筋肉痛・筋波動やRippling muscle diseaseとの関連もあります
LGMD2:幼児発症,CK上昇が顕著
- LGMD2A(Calpain欠損):小児期発症の肩甲周囲筋筋力低下、翼状肩甲
LGMD2B(Dysferlin欠損):遠位筋も筋力が落ちることが多い
LGMD2C-F(Sarcoglycanopathy):部分欠損、完全欠損により重症度が異なる
検査
針筋電図や筋生検では、必ずしも純粋な筋原性変化のみではなく、神経原性変化が混在することもしばしば見られます
- 血液検査:CKやアルドラーゼの上昇の有無を確認、PM/DMの鑑別
針筋電図検査
筋MRI
Western blotting:生検筋以外に、dysferlinなどは単核球での解析も可能です
筋生検:Caveolin、Calpine、Dysferlinなどの免疫染色も
遺伝子検査