脳動脈解離 診断


はじめに
動脈解離とは動脈の内膜が剥がれることをいいます。
脳の総ての動脈に起こり得ますが、頭蓋内解離と椎骨脳底動脈解離が多く、何らかの頭頸部痛を伴うことが多く、頭痛のみで発症する例もあります。解離の状態により、クモ膜下出血、脳梗塞(もしくは両者)を起こしうる疾患です。神経内科では主に脳梗塞例を診療することが多いのですが、予後が最も悪いのはくも膜下出血合併例です。

疫学
Wallenberg症候群の原因疾患としてあまりに有名ですが、脳卒中症例の1.2%程度が解離が原因といわれていて、特に外傷性のものは若年者にも多く見られます。解離の部位は椎骨脳底動脈系81例(83%)、頚動脈系17例(17%)と椎骨脳底動脈系が多いようです。
頭蓋外のみ、頭蓋内のみ、両者合併に分けると、椎骨脳底動脈系が頭蓋外のみ14%、頭蓋内のみ72%、両者合併14%で頭蓋内解離が多いのに対して、頚動脈系ではそれぞれ41%、47%、12%と頭蓋外、頭蓋内がほぼ半数ずつを占めます。

原因

症状
とにかく、頭痛、頚部痛が重要です。他の神経症状は脳梗塞の場合は多種多様ですが、Wallenberg症候群の症状は覚えてないければなりません。

検査:画像的診断基準

    血液検査
    脳MRI、MRA:椎骨動脈解離はBPAS画像が必須です。T1によるintramural hemorrhage、T2による偽腔形成の有無、MRA, BPAS画像の解離は必ず見なければなりません
    3D-CTA:偽腔への造影剤流入の有無を確認します
    血管造影検査

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上図(クリックして拡大ください):T2強調画像(左):脳底動脈腹側にややintensityの高い領域があり、偽腔と考えられます。T1強調画像(右):左椎骨動脈がT1高信号となりintramural hemorrhageと考えられます。動脈解離急性期に見られます
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上図(クリックして拡大ください):MRA(左)、BPAS(Basi-parallel anatomical scanning, 右):MRAでは右椎骨動脈のflowが遠位部で途絶していますがBPAS画像では描出されています。また、MRAでは左椎骨動脈の合流部付近ではBPAS画像と比較してflow voidが細くなっています。それぞれ、血管の外径に対してflowは細いあるいはないことを示唆しており、解離の所見として矛盾しません。
このように、単純MRI、MRAでも解離らしさを描出することが出来ますが、確定診断としては3D-CTAや血管造影で偽腔に造影剤が入り込むかどうかを確認する必要があります。

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