発作性失調症(Episodic ataxia)診断

発作性失調症あるいは反復性発作性失調症は、臨床病型、原因遺伝子変異の違いからEA1、EA2、EA3..と分類されます。発作性の失調症状、回転性めまい、ミオキミアなどを呈しますが、その症状が発作性であることから、この病態を疑うこと自体が難しい疾患です。

Episodic ataxia type 1;EA1
本邦からの報告はほとんどなく、非常に稀な疾患です。
遺伝形式:常染色体優性遺伝(第12番染色体上の電位依存性カリウムチャネルKCNA1の点変異が、1994 年にBrowneらにより報告されました)
症状:幼少期に発症し20歳程度になると症状は消失するようです。ミオキミア、反復発作性の小脳失調を特徴とします。小脳失調の発作の持続時間は数秒から数分で、感情/運動により誘発されやすい特徴があります。

Episodic ataxia type 2;EA2
こちらは、本邦でも時に診断されています。
遺伝形式:常染色体優性遺伝(本邦では孤発例も比較的多いようです)
CACNA1A遺伝子の点変異による蛋白の切断あるいはスプライス異常が関与
好発年齢:20歳以前発症が多い
症状:
数時間〜数日持続する回転性めまい、視覚障害、構音障害、失調症状等の発作、非発作時の眼振めまい・嘔気嘔吐(50%以上)
また、以下の特徴的な眼症状を認めます

    発作時のcentral ocular motor signs(90%以上)
    注視時眼振(downbeat nystagmus)
    自発+注視時誘発、rebound nystagmusや垂直方向性(特にdown beat)
    頭位懸垂で自発眼振の誘発
    注視障害、saccadic smooth pursuit
    非発作時もみられる眼振

SCA6とEA2の関連について
EA2とSCA6はそれぞれ以下のようなCACNA1A遺伝子の異常が原因になります。そのため、稀にSCA6症例でEA2様症状を見ることがあります。つまり、SCA6で見られるCACNA1A遺伝子内のCAGリピート伸長によりCaチャネル機能の変化が起こったためと推定されています。

    EA2:発症にはCACNA1A遺伝子の点変異による蛋白の切断あるいはスプライス異常が関与
    SCA6:第19染色体短腕(19p13.1-13.2)上に位置する電位依存性P/Q型Caチャネルα1Aサブユニット遺伝子(CACNA1A)のexon47にあるCAGリピートの異常伸長により発症

したがって、SCA6なのかEA2なのか鑑別が難しい場合もしばしばあります。A2様症状を呈するSCA6の特徴は以下の通りです。

    発症は10代前半〜60代前半
    いずれの家系でも無症状・有症状の症例が混在
    発作間欠期眼振、進行性小脳失調症状を伴う例が多い
    ほとんどの症例で小脳萎縮あり
    CAGリピート数は20-26
    1例を除きacetazolamideが有効
    MRSでは、SCA6症例はNAA/Crの比の低下を認め、EA2症例ではlactateの上昇やtotal creatineの減少が見られ、多少性質が異なる

さらに、あまりにマニアックなので詳述しませんが、EA2、SCA6とも異なるEA2様症状を呈する報告も徐々に蓄積されています。

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